3月25日に発生した能登半島地震。マグニチュード6.9という地震規模の割に人的被害は少なかった。だが、問題はこれから。いつ余震がおさまり、本格的な復興作業に移れるのか。それが長引くほど、本当の被害は大きくなる。同地域にあるゴルフ場も、いずれも被害は軽微だったが、やはり元の姿に戻れるのは地域の復興が進んでからになりそうだ。
震源に近い能登半島には6コースほどのゴルフ場があるが、そのなかでも比較的被害が大きかったのは、最も北に位置し、倒壊した家も多かった穴水町にあるザ・CC能登だ。
同CCでは人的な被害はなく、コースも土砂が崩れるといった、復旧に時間がかかるダメージもなかった。
ハウスも「自動ドアが外れたり、排気のダクトや配管がずれるといった被害がありました」とはいうものの、営業再開に支障をきたすものではなかった。
ただし、カート道路が波打つような状態になるなどして使用ができなくなったため、営業再開は被害地域では最も遅く先週末(予定)となった。
そのほかのコースは1~2日のクローズで、先週の半ばにはどこも営業を再開させていた。その点では、被災コースでは大きな亀裂も見られた04年中越地震ほどではなかったようだ。
とはいっても、すぐに以前の営業状態に戻れるわけではない。
まずは、アクセスの問題。金沢との間を結ぶ能登有料道路が、途中の柳田インターから先がまだすべて通行止めになっている。そのため、能登半島北部のゴルフ場では、地元ゴルファーの利用しか期待できない。
しかし、地元には被災者も多く、ゴルフを楽しむ余裕はない。某ゴルフ場の支配人は、「地元のお客さんは当分来られないでしょうし、こちらも積極的に営業するわけにはいきません」として、町の復興待ちになることを覚悟している。
また、能登GC(志賀町)も、ゴルフ場自体は「コースはカート道路が7箇所で亀裂した程度。ハウスも天井が一部で波打った程度で、被害は少なかった」ということだが、柳田インターからのアクセスがまだ完全ではない。道路の復旧、つまりは町の復興が待たれる。
能登半島の半ばのトーナメントも開催されたこともある朱鷺の台CC(柳田町)は、コースの被害はほぼ皆無。ハウス内は配管が壊れて2日ほど浴場が使えなかったのをはじめ、食器類や置物の壺が床に落ちて割れたり、壁の絵画が落ちるといった被害があったという。
だが、「お客さんの多い日曜日だったにもかかわらず、ケガ人が1人もでなかったので、とりあえずホッとしました」(稲村信成支配人)
ただし、こちらも営業してもコースは閑散とした状態で、「今月予定していたコンペも、多くが延期や中止となるでしょうね」(稲村支配人)
この冬は、3月中旬から下旬にかけて一時期、寒の戻りがあったものの、超暖冬で、北陸地方のゴルフ場も、どこも入場者数を伸ばしていた。この勢いで、本格的なゴルフシーズン、そしてゴールデンウィークと意気込んでいただけに、今回の地震はゴルフ場にとってはタイミングが悪すぎた。
「この冬は、異常に暖かすぎたので、何か悪いことが起きなければいいけどね、と話していたんですよ」と語るのは、石川県加賀市在住の成田司プロだ。
成田プロは当日のことを「震度5弱だったかな。この辺りは大きな地震とは無縁だったので、今回は僕の人生で最大の揺れ。本当にビックリした」と振り返ったうえで、「能登のゴルフ場を応援してあげたいけど、今すぐに遊びに行くわけにもいかないからね。復興が進んで、明るさが戻るまでは何もできないね」と語る。
まずは、余震が一刻も早く収束することを祈りたい。
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