飲酒運転やひき逃げなど、悪質な交通違反に対する厳罰化を柱にした改正道交法が先週、国会で可決・成立。この9月から施行されることになった。なかでも、より重くなる飲酒運転に関する罰則の中身を再確認しておこう。これを読めば、酒を飲んでハンドルを握ろうなんて気は、さらさらなくなる?
さっそく飲酒運転に関する罰則だが、酒酔い運転は現行の「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」から「5年以下の懲役また100万円以下の罰金」に。
酒気帯び運転は同じく「1年以下、30万円以下」から同「3年以下、50万円以下」と、ほぼ2倍の厳しさに。この罰金額を思えば、美味しいはずのお酒も口まで運べないのでは。
気を付けなければならないのは、運転者本人だけではない。これまで運転者だけにとどまっていた罰則の対象が、同乗者や酒類・車両の提供者など周辺にも広げられる。
現行法では、周辺者に明らかな加担行為があった場合、刑法の教唆・幇助を適用してきた。だが、それでは立証が難しく、立件される事例は少なかった。
しかし、飲酒運転には周囲の助長・容認がなければ至らないケースが多い。そこで改正道交法では、周辺者に対する厳罰が新設された。
同乗者は運転手が酒酔い運転の場合、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、酒気帯びでは、同「2年以下、30万円以下」に。飲酒運転になることを知っていて車両を提供した者は、運転手が酒酔い運転の場合、同「5年以下、100万円以下」。
酒気帯びの場合は、「3年以下、50万円以下」に。さらに酒類を提供した者は、酒酔い運転の場合「3年以下、50万円以下」。酒気帯びでは、同じく「2年以下、30万円以下」となる。
他に、飲酒検知拒否が「30万円以下の罰金」から「3月以下の懲役または50万円以下の罰金」へと厳罰化される。
5年前、酒気帯びの罰金が5万円から30万円に引き上げられた際には――同時に、ゴルフ帰りの運転者を狙い撃ちにした検問が実施されたという噂で――ゴルフ場からの飲酒運転は激減した。今回はどのような反響になるだろう。
「あらゆる機会に、お客様へ飲酒運転撲滅を呼びかけてきましたが、この罰金額になれば、飲酒運転はほぼなくなるでしょうね。お酒の売上げはさらに減るでしょうが、しょうがないですね」と語るのは、飲酒運転に比較的寛容といわれてきた沖縄の宜野座CC、幸地長興支配人。
一方、ゴルファー側だが、毎月1度、4組前後のコンペの幹事を務める足立孝範さん(岐阜県、自営業)は、「うちは酒飲みばかりですが、罰金がこの金額になれば、幹事として注意しなくても誰も飲まなくなるでしょう」と歓迎する。
今年の夏は猛暑と予想される。となれば、ビールなどの消費量が一気に増えることは想像に難くないが、ゆめゆめ飲酒運転はしないように注意したいものだ。
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