7月13~15日に静岡・東名CCで開催された女子ツアーのスタンレーレディスは、全国に甚大な被害を与えた台風4号の影響で27ホールに短縮され、上田桃子がプレーオフを制し今季3勝目を挙げた。静岡より東に位置する関東地方で、ほぼ雨が上がった夕方にテレビを見ていた人は、なぜプレーオフしか行われないのか疑問に思ったのでは? ことの顛末に迫った。
|
トーナメント始まって以来の 変則プレーオフで決着
|
9ホールに短縮された2日目はフェアウェイに水が浮き、カジュアルウォーターでボールをドロップする際に、選手によっては、セミラフや短いラフにポイントを選択する者がいるほど。
まだ、台風が接近前でさえこの状況で、翌日も天候が見込まれないため、全選手がホールアウト後、早々に最終日も9ホールに短縮されることが決定した。
その時点で、トップに立ったのは、上田桃子、横峯さくら、有村智恵の3人。
天候次第では、翌日に9ホールはもちろん、プレーオフすらできないことも考えられ、報道陣からはそれぞれに、明日「台風だけど戦いたいか」という質問が飛んだ。
上田は「9ホールやりたい」とやる気満々。
初優勝がかかる有村も「できれば……」とこちらは微妙な答え。横峯は「3人で山分け」と笑顔。三者三様の対応を見せていた。
2日目の晩、7時過ぎ、コースにもっとも近いインター、裾野のホテルに宿泊していた上田は、居酒屋で母とキャディと食事をしていた。
この時の記者との会話を採録すると------。
------明日は何時に起きるの?
上田 スタートが11時30分だから9時過ぎですかね。
------でも、中止が決定してプレーオフだけだったら、7時30分(トップスタート時間と同じ)の可能性がある、とLPGA(女子プロ協会)の広報が言ってたよ。
上田 そうなんですか。聞いてません。でも回りたいです。
単独で優勝すれば、75パーセントに短縮された賞金を足しても、賞金ランクトップのジョン・ミジョンを上回る上田は、是が非でもやりたいという決意がみなぎっていた。
しかし、直撃する台風により風雨は増すばかり。
さらに、最終日の未明には、東名CCのクラブハウスから下ったところにある長泉町の黄瀬川が大雨で水位が上がり、近隣住民の一部に避難勧告が出された。
コースコンディションが悪化したという理由で、朝6時30過ぎに中止が決定。
10時からティグラウンドとグリーン上で決着がつけられる16番パー3でプレーオフだけ行われることが決まった。
16番ホールを3回回るストローク戦。
プレーオフは前日には30センチにつけてOKバーディを奪った上田のティショットでスタート。
2、3回目に横峯が3パットして脱落。
4回目以降のサドンデス方式の1ホール目で、上田がバーディを奪い、「戦いたい」意思をもっとも強く示していた上田に軍配が上がった。
それからすぐのこと。台風は太平洋上に遠ざかり、正午過ぎには台風一過で、コース上空は晴れ上がっていた。
テレビで見ている状況と現場では微妙な天気のズレがあったのは確か。
この齟齬が生んだ今回の“椿事”、今後はこのようなことが起こらないことを願いたいばかりだ。
|