台風9号の直撃を受けた関東地方。河川敷の各コースは軒並み過去最悪の被害に見舞われた。水が引いてみると、そこは土砂にヘドロに巨大なゴミの山。復旧作業に追われる各コースを追った。
関東地方を流れる河川の代表格は、荒川、利根川、江戸川に多摩川。特に荒川沿いには多数の河川敷コースがあるだけに、被害に遭ったコースも多い。
荒川と隅田川に挟まれた東京都民ゴルフ場は、「7~8年前にもひどい被害があったが、その時と同じくらいの被害。2~3日で水は引いたが、そのあとのゴミ処理が大変。流木やペットボトル、サッカーボールもあった。ヘドロの除去にもかなりの時間がかかり、再オープンまでは数カ月かかる」という。
通常、グリーンを覆ったヘドロの除去には、消防用の放水ポンプを使う。
「何台も持っていて、人も沢山いれば作業も早いが、ウチはどちらも少ないので、時間がかかってしまう」。
隅田川が氾濫しなかったのは不幸中の幸いといったところ。
同じ荒川の上流に位置する川口市浮間ゴルフ場には、なんと「冷蔵庫まで流れ着いた」という。
ヘドロの処理もさることながら、ゴミを分別するだけでも途方もない労力がかかる。
こちらは「再開まで約1カ月くらい」と見ている。
過去、平成16年、13年、11年と、定期的に被害に遭って来たが、「今回は過去最悪だった平成11年に匹敵する」という。
近隣の赤羽GCも「6年ぶりの被害。少なくとも9月いっぱいは再開出来ない」という。
利根川沿いでは東我孫子CCが9月末まで、野田市パブリックゴルフ場が9月20日までクローズ。
ぐっと上流にさかのぼって、栗橋国際CCは、「利根川上流からの水量も多く、全冠水の被害に遭った。15日には再開したいが」という。
江戸川沿いの江戸川GCでは、「水は引いたが再開のメドが立たない」状況。
上流の北越谷パブリックコースでは、12日午前の時点で「まだ水が引いていない。昨日今日の雨でまたどうなることか」という状況だ。
水が引かない限り、出来ることは限られるので、当然再開のメドは立っていない。
多摩川沿い唯一の河川敷コース・川崎リバーサイドゴルフ場も、「ここ数年、小さい被害はいくつかあったが、これほどの被害は10年ぶり。水は2日後には引いたが、ヘドロがすごい。再開まではあと1~2週間はかかる」という。
一方、海沿いの被害は河川敷に比べて軽かったようで、相模川が相模湾に流れ込む手前に位置する湘南シーサイドでは、「一部水をかぶったが、1日で復旧できた」という。
2大外資の系列コースも被害を受けており、アコーディア系列のノーザンCC錦ケ原が荒川の氾濫で冠水した。
去年も被害を受けており、「去年は3日で復旧したが今年は1週間かかりそう。15日、16日の週末には再開出来る見通し」だという。
組織力を見せつけたのはPGGIH。
富貴GCが荒川水系の市野川の氾濫で過去最悪の被害を受けた他、同じく荒川沿いの川越グリーンクロス、江戸川沿いの越谷GC、利根川沿いのクリアビューGC&ホテルの合計4カ所が被害に遭った。
「近隣コースから応援を出し、総力を挙げて復旧作業にあたり、13日には再開出来る。残る3コースも15日、16日の週末には再開出来る」という。
ゴミを拾って分別する人手、コースを洗うポンプの台数と操作する人の数。復旧のスピードにスケールメリットが生かされた形だ。
各コースとも、河川敷である限り、一定の被害はもとより覚悟の上。
とはいえ「復旧費用もさることながら、何より痛いのは機会損失」というのが一致した見解。
ようやく夏が終わり、これからが稼ぎ時、というこの時期のクローズ。
総出で復旧作業にあたっている各コースのスタッフにはエールを送ろう。
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