タイガー・ウッズがいよいよ今週のビュイック招待から出場する。米ツアーは、今季すでに3試合を消化しているが、実は、参戦していなくても、タイガーの不在が何かと話題になっていた。TV記者”舌禍事件”を探った。
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試合に出なくても何かと話題のタイガー
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昨年末に32歳になったタイガー・ウッズだが、ゴルファーとしては、ちょうど脂が乗っている状態で、いまや敵知らず。
なにしろ、昨年から過去6試合で5勝。
体調万全で試合に出てくれば、他のプレーヤーには勝ち目はないことから、しばらく休んでいてもらいたい、などどいうコリン・モンゴメリーの言葉が、トッププレーヤーたちの本音のようだ。
「どうやったら、彼にプレッシャーをかけることができるのか試行錯誤している」とジム・フューリックが語れば、スティーブ・ストリッカーにいたっては、「自分も含めて、誰も彼と比較することなんてできない。比較してはいけないということを学んだ。自分は自分のゴルフをするだけ」とあきらめ顔。
そんななかで、ゴルフチャンネルのメインのキャスターが、つい口を滑らしてしまい、これがちょっとした「事件」になってしまった。
シーズン初戦のメルセデスベンツ選手権の中継で、コメンテーターのニック・ファルドと話していたケリー・ティルグマンが、タイガーが余りに強いので、彼に勝とうと思うプレーヤーは「裏通りでタイガーをリンチにしたほうがいい」と、やってしまったのだ。
もちろん彼女は、冗談で笑いながら語ったのだが、「裏でリンチ」というのは、黒人差別のKKKを彷彿させ、ウッズに対して語れば、差別用語となる。
そのため、CNNのニュースでこの部分だけが流されたのを受けて、黒人運動家として有名なアル・シャープトン牧師が、ゴルフチャンネルにすぐに彼女を解雇しろと噛み付いたのだ。
一時は大きな問題に発展しそうな雰囲気もあったのだが、ティルグマン女史が、すぐに謝ったのと、「タイガーとケリーは友人で、悪意のあるコメントではないことがわかっている」(ウッズのマネジャー)というタイガー側からの援護射撃もあって、結局、2週間の謹慎ということで落ち着き、今週のビュイックから職場復帰ということに決まったのだ。
そういえば、1997年のマスターズに勝ったウッズのことを、ファジー・ゼラーが、「リトルボーイ」と呼び、翌年のチャンピオンズディナーでは、黒人が良く食べるといわれる「フライドチキン」は勘弁だよ、と口を滑らして、大問題になったことがある。
それに比べれば、今回は、すんなりと決着したといえそうだ。
とはいえ、不在でも話題をさらうタイガー・ウッズ、ゴルフコース上ではもちろん、トーナメントを離れても、「触らぬ神にたたりなし」で、まったく触れられない存在になってしまった?
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