国内男子ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」の話題を独占したのは、やはり国内ツアーでのプロデビュー戦となった石川遼だ。その反響の大きさは、成績と同様、予想をはるかに上回るもの。改めて“遼くん効果”の大きさの程を調べてみた。
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東建の主役は遼くん。みんな遼くんを観に来た!
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“遼くん効果”の話題はこれまでも取り上げてきたが、それは彼個人のスポンサー契約や契約先への影響など、主に石川遼周辺に関すること。
ところが、プロデビュー戦の1試合だけで、その効果には男子ツアー全体を活気づけるパワーがあることが証明された。
まず、驚きは東建ホームメイトカップのテレビ中継の視聴率だ。最終日の平均視聴率は10.1パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
男子ツアーの2ケタ乗せは、なんと10年ぶりの快挙である。前回の10パーセント超えは尾崎将司がプレーオフで惜敗した1998年の日本プロというから、ジャンボ時代の熱気を取り戻したかのようだ。
また、9.7パーセントを記録した3日目には、石川のホールアウトを待たずに番組が終了したため、直後に日本ゴルフツアー機構(JGTO)のホームページの速報にアクセスが殺到。
200万本以上のアクセスがあったためか、サーバーがシステム障害を発生させ、1時間以上接続ができないことになった。
ジャンボ時代以来の熱気にさっそく反応したのが、主催の東建コーポレーションだ。期間中に、来季賞金総額を今季より2000万円増の1億3000万円とすると発表した。
「決めたのは土曜日(19日)の夕方です。石川選手が起爆剤となり、ツアー全体に以前の熱気を感じましたので、それをさらに盛り上げたいと思い増額することになりました」(同社・広報)。
土曜日は、強風のなか8919人もの大ギャラリーが詰め掛けた。そのフィーバーに押されての決定だったのだろうか。
ちなみに、今季ツアーでは、昨年暮れの日程発表後、(石川のプロ転向発表を経て)ANAオープンとマイナビABC選手権が各3000万円の賞金総額アップを決めている。
一方、ギャラリー数だが、初日・2日目は雨天にもかかわらず、(入場無料とあって)ともに2000人超の入り。そして、最終日は1万5262人の大入りで、4日間合計2万9072人。昨年より9491人もの大幅増となった。
また、当日券は2日間で昨年の約3倍の800枚も売れ、売上げの一部はチャリティに寄付されるという効果ももたらした。
あまりの売れ行きに関係者をあわてさせたのが、JGTOが昨年から大会会場で販売している、選手の顔写真入り「サポーターズバッジ」(1個500円)だ。
昨年一年間24試合で、最も売れたものでも深堀圭一郎の218個だったのが、石川バッジは用意した300個が3日目までに完売。最終日、200個を追加したが、もちろんそれも売り切れる人気となった。
先週のつるやオープンには1000個用意するということだったが、果たして足りたのだろうか。
さっそく巻き起こった“遼くんフィーバー”。今後のトーナメント運営にも影響が出ているはずだが、今週の中日クラウンズについては「例年以上の問い合わせはありますが、チケットの売れ行きは、まだ集計をしていませんのでわかりません」(事務局)。
もともと大ギャラリーが押しかける大会なので、ギャラリー送迎など運営で急きょ再考を要するといった影響はないようだ。
また、5月15日からの日本プロ(群馬・レーサムゴルフ&スパリゾート)は、石川プロ関東初見参の大会だが、22日時点での前売り券の売れ行きは、「既に1万セットほどは売れていると思いますが、石川選手の活躍の影響があるとすればこれからでしょう」(日本プロゴルフ協会)とのこと。
もうひとつ、間接的な影響になるが、今季ツアーではマンシングウェアKSBカップ、KBCオーガスタ、マイナビABC選手権の3大会がジュニア推薦枠を従来の合計6人から9人に増枠すると発表。勿論これは「第2の石川」の登場を促すことが目的。
今後の活躍次第では、ツアーへの影響はまだまだ拡大するに違いない。
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