激戦が予想される今年の女子プロテストで最も注目されていた宮里美香(興南高校卒)が、日本でのプロ入りを“辞退”し、日本ではなくアメリカからツアーデビューを目指すことになった。アマチュア最後の試合、クィーンシリキット杯2位になった宮里美香に、その理由を聞いた。
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いばらの道は成功への近道、と宮里
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宮里藍は日本ツアーデビューから3年後にアメリカQTを突破して、米デビュー。上田桃子は昨年のミズノクラシックで優勝し、米ツアー出場権を獲得。
どちらも、プロデビューは日本。過去に、米国で賞金女王となった岡本綾子も、3勝した福嶋晃子も、日本で経験を重ねてからのもの。一度、日本というステップを踏むのが通例だった。
しかし、美香は今年の3月から受験していた日本のプロテスト2次の途中で棄権し、いきなり米ツアーから挑戦することを選択した。その理由は納得の行くものだった。
「昨年の9月か10月頃から、アメリカに挑戦したいと思っていました。決断したのは4月です。アメリカで生活する場合を考えて、IMGアカデミーやアニカアカデミーを父とともに視察したんです。時間ができた日が、ギンオープン最終日で、オチョアの組に付いて歩きました。
優勝したオチョアと争っていたのは、チェン・ヤンニ。アマチュアの試合で私と戦ったことがある友達でした。私に気がついて、声をかけてくれました。それで、焦ったんです。私はこのままでいいのだろうか。何をやってるんだろうって。早く、米ツアーの道を切り開かなくちゃと思って、すぐにでも米国に行くことを決断したんです。旅立つときはまだ決心していなかったんですけどね」
ゴルフ留学先はIMGアカデミーに決めた。ゴルフではポーラ・クリーマーやフリエタ・グラナダらが育ったところだ。
6月末に日本を発ち、そこで留学生活を送ると決意した美香にも当然不安はある。9月から始まるアメリカのQTを失敗したら、プロデビューの道は閉ざされ、1年遅れをとる。それでも……。
「『最悪なこと』もたしかにあるかもしれません。もしそうなったら、アマチュアとして、もう1年鍛えなおすだけです。最初父から反対されると思って、母(洋子さん)にしか話せなかった相談も、父(隆さん)はすぐに受け入れてくれました。大きな決断でしたが、早く米国に行って、慣れたいんです」
いばらの道を選んだ美香も強くなるための近道だと考えた。「私の目標はアニカ・ソレンスタム。人間的に尊敬されて、世界で通用するプロになることです」
現在、NOVAに通いながら、米国への出発準備真っ只中。美香は、プロゴルファー人生の岐路に立った。
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