市販されているドライバーのヘッド体積は今や460ccが標準となり、プロモデルとて例外ではない。しかし、いまだ460ccに手を出さないプロも多く、最近では460ccから小さめのヘッドにUターンするプロも増えているという。最新のプロのトレンドを追った。
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小さいことはいいことだ? ツアーステージXドライブ410
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ざっと挙げただけでも、谷口拓也(400cc)、宮本勝昌、ディネッシ・チャンド(以上410cc)、手嶋多一、井上忠久、I・J・ジャン、ポール・シーハン(425cc)、近藤智弘、宮里優作、今野康晴、すし石垣(430cc)、横田真一(440cc)、平塚哲二、宮里聖志、増田伸洋、高山忠洋(445cc)ら“アンダー460cc組”(「アンダー」は「未満」の意)にもそうそうたるメンバーが連なる。
今はプロでもクラブにやさしさを求める時代、現に男子ツアーでも大型ドライバーをバッグに入れる選手が多数派である。しかしその一方で、同じメーカーの同じシリーズに460ccモデルが存在するにも関わらず、あえて“アンダー460cc”にこだわっているプロも多く、彼らのためのクラブ開発も行われている。
その理由はどこにあるのか。そして“アンダー460cc”はさらに増えるのか。フェースの反発係数、ヘッド体積、そして慣性モーメントまでがルールの上限に到達したいま、今後ドライバーがどう進化していくのか、実はそこに一つの可能性が見えてくる。
長年300cc台のドライバーを使い続けて来て、最近ようやく410cc、445ccにそれぞれ持ち替えたのは宮本と高山。彼らが小さなヘッドにこだわり続けてきた最大の理由は、スピン量。ヘッドスピードが速いプロの場合、吹け上がりを抑えることが飛距離増につながる。
それには、「460ccも低重心設計になっていますが、小さいヘッドのほうが使える余剰重量が大きいので、低重心・低スピンになりやすい」(ブリヂストンスポーツクラブ開発部・本吉興毅氏)ためだ。
本吉氏の言葉を裏付けるように、同社契約プロでもっともヘッドスピードの速い宮里優作やもともとスピン量の多い宮里聖志らも、460ccから445ccへ、宮里優作はさらに430ccへとサイズダウンを行い、平均飛距離を伸ばしている。
また、操作性の面からも“アンダー460cc”は支持されている。わざわざシニア向けの『レイオス』を使用しているチャンドをはじめ、手嶋や横田ら一旦460ccに手をつけながら、“アンダー460cc”に戻るプロも多い。
こうしたプロのこだわりを受けて、改めて“アンダー460cc”の開発に本腰を入れるメーカーも出てきた。これまで460cc一本だった『スリクソンZR-700』の後継モデルは、460ccの『ZR-800』と425ccの『ZR-30』の二本立て。また、ヨネックスでは石川遼のために400ccクラスのプロトタイプを作ってテストを行っている。
「460ccは流行みたいなもの。それがプロにとってベストなのか改めて検証する必要はある」(某メーカー・プロ担当者)
もちろん、だからといってプロが全員“アンダー460cc”に走ることはあり得ない。現実に460ccの恩恵を受けているプロが大勢いるからだ。
「大きいヘッド、小さいヘッド、それぞれの欠点はありますが、それを消していくことは可能。ドライバーが進化する余地はまだ十分にあります」(前出・本吉氏)。
右へ倣えが面白くないゴルファーにとっては、歓迎すべきことである。
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