この4月に防衛省の資料で判明した自衛隊基地内にあるゴルフ施設が、現在まで全国12カ所にあることがわかった。一般向けに開放することも含め、利用方法の見直しが検討され始めたというが、基地内ということもあり難しい問題があるのも事実。新聞報道などでは“本格的ゴルフ施設”といわれるが実態はどうか。現地取材を行った。
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本格コースではないにせよ、練習場よりははるかに気持ちいい……百里基地
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自衛隊基地内にゴルフ施設があることが判明したのは新聞報道が端緒だが、米軍基地内のゴルフ場を問題視した民主党の武正公一衆院議員も同時に調べ上げていて、追及していく構えを見せていたが、6月13日に国会閉会を迎え問題は沙汰やみになっている。
当初、武正議員が防衛省に糺していた段階では、ゴルフ施設の存在を隠蔽していたという。同議員の事務所では「けしからんというのであれば、まずその点だ」という。
今回現地取材を行ったのは、陸上自衛隊の木更津駐屯地(千葉)と航空自衛隊の百里基地(茨城)の2つ。
木更津のゴルフ施設といわれるものは、判明したなかでは最も広い23万㎡で9ホールある。基地内の保安用地に作られており、フェアウェイは野原といったほうがいいし、ティグラウンドは貧弱だ。グリーンは高麗芝で手入れはされているが、一般のゴルフ場と比べて質的にはかなり落ちる。バンカーもあるが砂はほとんどない。
保安用地とは、滑走路の周辺に、安全確保のためなどに作られた草地などのエリアのこと。大半の施設はこの保安用地に設けられている。
首都圏防空を職務とする百里のゴルフ場は、3万㎡で6ホール。フェアウェイもやはり野原といった感じだが、ティグラウンドはきちんとしている。グリーンは高麗芝で、ところどころ剥げており、今の状況ではプレーに適しているかどうかは意見の分かれるところ。
取材した限りでは、“本格的ゴルフ場”というには無理があるようだ。ただゴルフの原点が野原や砂丘、荒野からスタートしたことを思うと、そこを格安で利用できることは一般ゴルファーにしてみれば、羨ましい側面もある。
利用料は、別表のとおり月額1000円から3000円。主に草刈りなどの整備費用として使われているということだ。
今回の問題が浮上して会見した石破茂防衛相は「国民の目線に立つことが大事」と言明、見直しや一般開放も視野に置き検討を指示した。
政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう語る。
「基地とはいっても、国有地であり税金で運用されているもの。隠し事をしないことが基本。都合の悪いことを知らさないことが問題。スペースを利用して、ゴルフ場を作っていたとしても、そのことに関しては問題ない。ただ開放日などを設け周知させておけばよかったとは思う」
一般開放が現実となれば喜ばしい。現状では野原然となっており、ゴルフコースとしてきちんと整備したうえで開放すれば、一般ゴルファーにとってはそれはそれで嬉しい限りだ。自衛隊基地内という条件もあるだろうが、何とか開放日ができることを期待したい。
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