国内女子アマチュア界では宮里藍が登場する以前から、ジュニアの高校生が日本女子アマを制するなど、大人を凌駕する例が目立っていた。そして宮里以降は、アマチュア界をリードするにとどまらず、プロツアーでも上位に迫る選手が続出するようになった。そうしたトレンドがさらに進化。今年、各地区の女子アマ選手権で中学生チャンピオンが相次いで誕生している。
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上から、杉本愛理、浜美咲、比嘉真美子。
女子アマ界は中3旋風が炸裂!
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今月24日~28日の日本女子アマを前に各地区の女子アマ選手権が実施されたが、並いる強豪を差し置き、一気に3人の中学生チャンピオンが誕生した。関西女子アマの杉本愛理、四国女子アマの浜美咲、そして九州女子アマの比嘉真美子。いずれも中学3年生だ。
関西女子アマでは4年前の中川亜美(現・関大1年)に次いで中学生覇者となった杉本だが、父親の剛氏によれば、この1年で身長が8センチ近くも伸びた(現在168センチ)という。
ところが、その伸びに体力、筋力が伴っていなかったため、昨年はゴルフ練習は控え、登山などでもっぱら足腰の強化に専念したそうだ。
その結果、飛距離は20ヤードも伸び240~250ヤードに。その飛距離をベースに今年、ラウンド練習を再開したところ、女子ツアーのスタジオアリスのマンデー通過など急成長。そして今回のタイトルにつながった。
女子はこの年代から急成長するのだろうか。四国女子アマを制した浜もこの1年でゴルファーとしての姿勢がガラリ変貌。彼女は昨年から、自宅のある香川県から毎週日曜、六甲国際GCの江連忠ゴルフアカデミーにバスで通い始めた。
同郷の1歳年上で、彼女の目標でもある堀奈津佳(JGA女子チームジャパン・ジュニアメンバー)に引きずられるようにメキメキ成長した。
それでも同アカデミーの評価は「まだまだ下手っぴ」ということだが、「努力家ですし、何事もプラス思考のところがいい。四国女子アマでは上がり2ホールの連続バーディで優勝を勝ち取ったので、精神面もたくましい子なのかも」(ジュニア担当の中島恵子インストラクター)
九州女子アマは昨年も沖縄の中学3年、澤田沙都子が14歳で優勝したが、今年も同じく沖縄の14歳、比嘉が制した。ただし、比嘉の場合は昨年から実績があり、堀と同じJGAのジャパンメンバー。
ゴルフ歴はまだ4年だが、「270~290ヤードは飛ばしますよ」(所属のベルビーチGC、山城茂彦キャディマスター)というスケールの大きなゴルフが魅力。ジュニア層の厚い沖縄からまたまた飛び出したスター候補かも。
ところで、こうした中学生優勝者の相次ぐ誕生をJGAジュニア育成委員会の富田浩安委員長は、大変に喜ばしいとしたうえで、「ゴルフ場や練習場がジュニアを受け入れてくれるようになったこと。各地区連盟を中心とした、地元のゴルフ関係者のバックアップなど、環境が整備された成果。それと保護者の理解と支援でしょう」と分析する。
JGAではジュニア会員を募集しているのだが、その登録数は2004年の7560人から昨年は1万1219人に増加。うち小学生だけを見ると、2004年の670人から1858人と3倍近い。つまり、より低学年から普及が進みつつあるということ。
「せっかくいい成果が表れるようになりましたから、このままジュニアの育成と強化を図りたい。そして、若い世代から人格的にも優れた、優秀なゴルファーが次々と輩出されるようになればうれしい」(富田委員長)
女子の手ごたえは良し。あとは石川遼に続く、男子ジュニア界の星の登場が待たれる。
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