アコーディア・ゴルフ傘下の関西の名門コース・万壽GC(奈良)が、5月末日をもってアコーディアブランドを下ろした。これまで統一ブランドによるカジュアル化路線を推進してきたアコーディア。万壽GCに独自路線を適用した背景とは。
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アコーディアのなかでも
“別ブランド”になる万壽GC
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万壽GCは昭和62年のオープンで、旧日東興業系列のコースのなかでも屈指のハイグレードコースとして知られる。
6月1日以降は、日東興業時代に使用していたロゴを、色をかえて使用している。アコーディアクラブのポイントカードも使えなくなった。
万壽GCでは、以前からビジターは土曜、日曜は会員同伴、ショップで扱う品揃えもハイグレード品中心。アコーディアが推進してきたカジュアル路線とはやや一線を画す運営を行ってきたが、「会員に運営方針がはっきりわかるように、アコーディアブランドを外すことにした」(アコーディア広報)という。
ただ、スタート間隔を長めにとったり、組数そのものを減らすといった施策は「会員の要望を聞きながら、将来の課題にはなるかもしれないが、今のところ考えていない」という。
アコーディアでは運営受託コースの他、旧東和ランド系の皆川城CC、オークヒルズCC,グレンオークスCCの3コースや、松下興産から一昨年暮に取得した神戸パインウッズGCはアコーディアブランドを付けずに営業しているが、「現在アコーディアブランドが付いているコースで、万壽以外にアコーディアブランドをはずす予定はない」という。
アコーディア傘下には、万壽以外にも愛鷹シックスハンドレッドC、新陽CC、石岡GC、大厚木CC、習志野CCなど、名門コースはいくつもある。
これらのハイグレードコースも、従来のカジュアル化路線から、ハイグレードコース向けの運営に転換するのかと思いきや、アコーディア側はそういうつもりではない、という。
空いているコースでゆったりプレーしたいというのが会員心理だが、それは一方で安定した収益を稼ぎ出さねばならないゴルフ場経営会社の利害と、ほとんどの場合対立する。空いているコースでゆったりプレーしたいと思えば、会員も応分の負担を覚悟しなければならないのが原理原則だ。
アコーディアが推進してきたカジュアル化路線は、ゴルファーの裾野拡大に貢献してきたことは間違いないが、その反面コースの混雑ぶりに対し、不満を口にする会員が多々存在してきたこともまた事実だ。
「最悪の時期を脱し、来場者数が増えて来た結果、会員権が高額なコースなどの会員の声を無視出来ないと判断したのでは」(ゴルフ業界関係者)との声も聞かれる。
成田GCの民事再生手続きでは、ゴールドマン・サックスグループがスポンサーに内定したが、カジュアル化を懸念する会員から、会社更生手続の開始を申立てられるなどの動きがあった。
万壽にあやかりたい他コースの会員から今後強い要望が出てくれば、他のコースに波及する可能性もあるかも?
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