手首の負傷や、疑惑の棄権騒動、キャディ解雇事件などマイナスイメージが強くなる一方の“天才少女”ミッシェル・ウィ(18歳)が再び大失態をやらかした。2日目のプレー後のスコアカードにサインし忘れ(あとでサインはした)、LPGAの確認と判断が遅れて3日目のプレー後に「失格」が決定されたのだ。失格がなければ、3日目を終わった時点で首位と1打差につけていただけに、ウィにとっては悔やまれる失格となった。ことの顛末を追った。
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失格していなかったら初優勝してたかも……
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7月20日に終了した、米イリノイ州で行われた米女子ツアー、ステートファームクラシックに主催者招待枠で参加したウィは連日30度を越える猛暑にもかかわらず、3日目まで通算17アンダーと首位に1打差の2位に迫るという久しぶりの大健闘。その直後LPGA事務局が「ミシェル・ウィ失格」を宣言して大騒ぎになった。
同事務局の説明によると、「ウィは2日目終了後、指定されたテントの中でスコアカードにサインしなかったことが規則違反にあたる」という。
LPGAの規則によると、「選手は指定されたスコア提出用のテントやトレーラーのなかでサインをすることが義務つけられている」が、ウィは2日目のラウンド終了後、スコアカードにサインをするのを忘れ、そのままスコアリングエリアを出てしまった。
スコアリングエリアとはスコア記入用テントの境界線を示すロープや白線の中を意味している。その後ボランティアが彼女を追いかけてゆき、スコアリングエリアの外でサインをさせた。ボランティアもウィも、「これで問題はない」と思ったが、結局はこの行為がスコア提出に関するルールに抵触することが判明した。
しかしLPGA側にも落ち度があることは明白だ。なぜ2日目終了後にウィに対して失格を通告できなかったかという疑問が残る。LPGA側の説明によると、
「ウィのサインミスが判明したのは翌日(3日目)午前のこと。スコア記入担当のボランティアが前日のウィの行動について話し合っているのをLPGA職員が聞きつけて、これを競技委員に通報したが、この時点ではウィがすでにスタートしており、混乱を避けるためにもラウンド終了を待たなければならなかった」というのだ。
ウィは記者会見で、「いつもは最初にサインするのだけど、うっかり忘れてしまった。本当についていないけど、良い勉強になった」とだけ話して席を立ってしまったが、何かスッキリしない表情だった。
地元マスコミのなかには「肝心のスコアカード提出という重要な問題をルールに無知なボランティアに任せたLPGAに責任はないのか?」という声も出ている。しかも次のような疑惑も噴出しているという。
「実はLPGAはウィの行為は失格の対象になると知りながら、最初は見て見ぬふりをした。しかし2日目までの予選を一緒にプレーした他の選手がウィの行動を見て、これをLPGA側に通告したことから事件が発覚、見逃すことができなくなったという噂も流れました。その理由は今大会の目玉はウィにあり、アニカやオチョア、クリーマーなどのビッグネーム不在の大会ではウィの知名度に期待するほかなかったからです」(地元記者)
ウィは初日の15番ホール(パー4)で、2打目の120ヤード近くを直接カップインしてイーグルを奪った時にはギャラリーも大喜びで、翌日の新聞も「ミッシェル・ウィ、初優勝迫る」と大々的に報道していたほどの期待ぶりだった。
「失格」を知らされた時のウィは「世の中にサンタクロースなんて存在しないと告げられたときの子どものようにキョトンとした表情をした」(地元紙)という。
せっかく名門スタンフォード大学に入りながら、ゴルフルールを知らない“天才少女”なんて不思議、なんていう皮肉も聞こえてきそうだ。
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