丸山茂樹から笑顔が消えた。米ツアー参戦以来、シード獲得の最大の危機を迎えているからだ。昨年もこの時期、シード権が危ないといわれていたが、それでも、秋季シリーズに入る直前までに50万ドルは稼いでおり、準シードの賞金ランキングの150位以内には入っていた。しかし今季は、8月3日時点の成績で、獲得賞金が16万ドル強で、賞金ランキングは190位。米シード権死守か、日本ツアーに戻るか、丸山の今を探った。
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米か日本か、どっちに出る?
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本誌が出るころには確定しているが、3日時点では昨年出場した大型賞金のプレーオフシリーズにも出場が決まっていない。今年は1000万ドルのキャッシュがボーナスでもらえるというのに、このままでは出場できない状況に追い込まれてしまっているのだ。
今、丸山を悩ませているのは、いつ帰国して、日本の試合に参戦するかということ。「米ツアーでのモチベーションも下がっているようで、日本でリフレッシュしたいという考えもあるようです。だた、本人もいつ帰国するかはまだ決めかねているようです」(丸山の事務所)。
日本で3試合消化しないことには、日本のシードを維持できないし、かといってブザマなところも見せられない。
何より、いずれ日本に帰国して、日本のツアーをメインに活躍するにしても、このままでは帰れない。少なくとも米ツアーでシードのあるうちに凱旋帰国をしたいというのが本音だろう。
加えて、米ツアーの年金の問題もある。「米ツアーの年金は、シードが5年以上で受給資格を得、10年以上だとそれだけ(米ツアーへの)貢献度が大きくなり、『エリート受給者』となる」(ツアー事情通)。
2000年に米ツアーのシードを獲得した丸山は、来年のシードを確保できれば、10年選手ということになり、総額20億円近い年金が手に入るとも噂されている。
このことから、もう1年是非ともシードを確保したいのではないか?
もっとも、年金などというのは、後ろ向きの発想ともいえる。丸山が目指していたものは、もっと前向きだ。ひざや腰などの故障で、確かにここ1~2年はふるわなくなっているが、そもそもスランプの原因は、トップを目指したことにある。
もし丸山が、2002~03年のままのプレーを続けていれば、中堅のプロとして、もっと勝つチャンスはあったはずだ。しかし、世界のトップを目指し、タイガー・ウッズなどと互角に戦うには、「飛距離が足りないということで、筋力トレーニングに励んで」(丸山)いたのだ。
明らかに体型が変わり、筋肉質になったのは、知っての通りだが、その過程でスウィングをおかしくし、故障を引き起こすようになってしまった。
今季は、日本の今田が米ツアーで1勝したが、丸山以前には、米ツアーで優勝したのはハワイアンオープンでの青木功の1勝だけ。丸山は日本人としては、前人未踏の地平を1人切り開いてきたのだ。
よく解釈すれば、今が我慢のしどころで、V・シンやK・ペリーのようにこれから花開くことも期待できないことはない。この9月に39歳となる丸山だが、まだ39と考えるか、もう39と考えるかで、これからが大きく変わってくる。
シード獲得まであと65万ドルあまり、逆転ホームランで丸山の笑顔を見たいものだ。
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