外資系ファンドはどうせ買ってもすぐに売る――。そういわれ続けながら、一度もコースを売ったことがなかったアコーディア・ゴルフがついにゴルフ場を売った。ライバルPGグループは既に7コースを売却済みだが、ここへ来てアコーディアが売却に動いた事情を追った。
今回アコーディアが売却を決めたのは四万十CC(高知)と双園GC栃木コース(栃木)の2コース。いずれもアコーディア本体から経営会社を分離独立させ、経営会社の株を譲渡する形をとる。
従って、会員との契約関係は従来どおりだが、ポイントカードなどアコーディアグループ特有の特典はなくなる。
アコーディアとその親会社であるゴールドマン・サックスグループ(以下GS)との間では、ある種の棲み分けがある。
アコーディアが直接取得するものもあるが、GS系のファンドでまず取得し、収益性を見極めたり地主との契約関係などが不完全な場合はそれを整備してからアコーディアに引き渡されるものもある。
これをGSグループでは“アコーディア化する”、と表現しており、四万十CCは旧スポーツ振興系のコースで、GS傘下に入ったのは平成15年11月だが、アコーディア化されたのはその1年4カ月後の平成17年3月。
双園は旧日東興業系のコースで、こちらはGS傘下入りは平成13年12月でアコーディア化されたのはその4年後の平成17年12月。いずれもアコーディア化から2年半~3年強経過している。
基本的に露払いが済んだコースがアコーディア化されるわけだから、ひとからげで買ってはみたものの収益が上がらないから売る、という状況にアコーディアが陥ることはほとんどないことになる。旧緑営系の沼田SCC(群馬)は、アコーディア化されることなくGS系によって売却されている。
今回売却の対象になったコースも「利益は出ている」(アコーディア広報)という。それでも売却するのは、「弊社のポートフォリオのなかで、目標とする収益に達していないから」(同)なのだという。
アコーディアの永遠のライバルであるPGグループは、平成17年~19年にかけて早々と、グレート旭川CC(北海道)や加賀セントラルGC(石川)など合計7コースを売却している。
ただ、PGグループの場合は、一旦売って運営受託を請け負っている加賀セントラル以外は全て赤字コースゆえの売却だった。
「傘下コースの経営は順調で、現時点で赤字コースはない。何年も赤字を垂れ流すコースでもない限り、売却するつもりはなく、今後はまず売却の予定はない」(PGGIH広報)という。
アコーディアは今年の11月で上場から丸2年になる。樽前CC(北海道)など名門コースの取得に積極的であるスタンスは変わらない。赤字コースの売却から一歩踏み込んで、黒字であるというだけでは満足せず、より高い収益性の追求を実行に移しはじめたということだろう。
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