米LPGAが8月下旬、「過去2年間ツアーに参加している外国選手に対して英会話の口頭試験を実施し、意思伝達する能力が十分でないと判断した場合にはツアー資格を剥奪する」という方針を決定した。外国人選手121人中45人という多数派を擁する韓国人選手やマスコミが大騒ぎしているだけでなく、米国内の人権団体が「人種差別ではないか」と集団訴訟を検討しているというのだ。
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いまでは、藍ちゃんの英語は問題なしだが……
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米LPGAが今回このような方針を打ち出したのは昨年来、韓国や台湾を初めとするアジア人選手の台頭が著しく、優勝スピーチも英語でできない選手が続出。プロアマ大会でも英語ができないアジア人選手とスポンサー企業幹部がコミュニケーションできず、スポンサー幹部からクレームが殺到したからという。
ニューヨーク在住のスポーツジャーナリストのパトリック・クラーク氏が言う。
「昨年夏の宮里藍とイ・ソンファが争ったHSBCマッチプレーをみてもアジア勢だけが上位に残ったためにスポンサーはおかんむりでした。視聴率も低かっただけでなく、優勝スピーチでもスポンサーに感謝するという恒例の英語スピーチもなかった。スポンサーは何のために大金をはたいて大会を開いたのかと激怒していたのです」
米ツアーのステートファームクラシックのディレクター、ケイト・ピータース氏はもっと露骨だ。
「LPGAはアメリカのツアーだ。私たちはスポーツエンターテインメントの世界に生きている。選手にはコースだけでなく、スポンサーやファンとのコミュニケーションも英語でしてもらいたい」と語る。ほかのLPGA幹部も、「スポンサーを喜ばせなければ選手たちも失業する」と強圧的に言う。
これに対して韓国女子プロゴルフ協会広報担当のコ・ヒョンスン氏が言う。
「セーフウェイクラシックを前にした8月20日、LPGA事務局は韓国人選手だけを集めて英会話テストの方針を説明しました。このこと自体が、韓国人選手に対する差別ではないかと思います。スウェーデンのソフィ・グスタフソン選手のような強い吃音をもつ言語障害者や、視聴覚障害者に対してはどう対応するかを聞きたいですね」(KLPGA広報担当代理)。
こうした疑問に対してLPGA韓国選手担当、ピョン・シンヒョン氏からは、回答はなかった。
肝心の韓国人選手の反応は?
ゴルフ殿堂入りしたパク・セリは「LPGA選手はある程度英会話能力を持たなければなりません。優勝スピーチも英語でしなければならない。ただ英会話ができないからといって資格剥奪は厳しすぎ」と語る。
来たるべき英会話テスト(2009年末実施)の内容だが、韓国人記者によると思ったほど難しいものではないという。
「今日の調子はどうだったか、番手は何だったか、今日は何して過ごすか? といった簡単な内容です。あまりパニックになる必要はありません。米生活の長い宮里藍はもとより上田桃子も少し勉強すれば問題ありませんよ」(韓国ゴルフ記者)
しかし英会話テストをするスポーツが他にあるだろうか?
米大リーグスポークスマンのパット・コートニ―氏は「我々は選手が気持ちよくインタビューできることを願っているし、選手たちの文化的基盤を尊重する。共通語である英語を強要することはない」と語る。
この問題、まだまだ尾を引きそうだ。
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