在日米陸軍キャンプ座間のゴルフ場から打ち込まれたボールがこの2年間で127個。うち学校の校庭に56個。市民憩いの広場に63個とかなりの数にのぼる。今年5月には小学生男子の顔を直撃する事故も起きている。キャンプ座間は神奈川県相模原市と座間市にまたがり、在日米軍基地にあるゴルフ場で緩衝地帯がないのはキャンプ座間だけ。大事故につながる可能性もあり、在日米軍の良識ある対応が待たれるが……。
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威圧感たっぷり! 張りめぐらされた高さ40メートルもある防球ネット
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ボールの飛び出しが増え始めたのは2007年の夏ごろからという。これは同ゴルフ場がこのときコースを変更する工事を実施したためと見られる。問題のホールは1番と5番ホール。
1番ホールに隣接するのが、相模原市立相武台ふれあい広場で、同市のまとめによると、2006年度以降にこの広場に飛び出したボールは今年8月末までで63個。もちろん周辺の住宅にも飛び出している。
このふれあい広場に隣接する新磯野西公園では、5月に米国人大学生が打ったボールが、公園内にいた小学生に当たり負傷した。
また、ボールの飛び出しが頻発しているのが5番ホールに隣接する同市立相武台中学校。やはり2006年度以降で56個ものボールが飛び出している。現在までに生徒に当たる事故は起きていないが、昨年の夏休みに、練習中の野球部員の近くに落ちたと報告されている。
同校の井上隆之校長は「ボールの飛び出しは、生徒のいない早朝と夕刻が多いため、緊急の危険性は感じない」と言いながらも「生徒に当たってからでは遅い」と不安を隠さない。
米軍側では、ティショットの際にドライバーの使用禁止を伝える注意看板を掲示するなど飛距離を抑えるようにし「ボールが外に飛び出さないように対策をとった」とコメントする。
相模原市渉外課では「効果ある対策が実施されたのか、9月に入ってボールの飛び出しはあまりないようでもある」と話す。
このゴルフ場は住宅街の目の前にあり、1番ホールから5番ホールまで最高40メートルもある防球ネットが延々と続く。住民のなかには、倒れたら危ないし怖いので高いのは困るという人も。
8月末に現地視察を行った同市の相武台地区自治会連合会の丸塚幾男会長は次のように話す。「確かにゴルフボールの飛び出しは困る。大事故につながる恐れもある。良い隣人関係も維持したいので、米軍側にはしっかり対応をしてもらいたい」
住民のなかには「以前のコースに戻すよう設計変更をすべき」との指摘もある。
「(連絡はないが)すでにコース変更をした可能性もある。米軍側の対策が実効あるものになっているか、今後とも厳しい目で見守っていきたい」(同市渉外課)。
ゴルフ場といえども軍事施設であり、付近住民への安全対策は十分な配慮が必要だろう。
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