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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/14号
2008/10/10更新
TV放映なかったライダーカップ
ミケルソンいいとこなしでも米国が勝利

 金融市場では、世界中の株が乱高下を繰り返しているが、人気ゴルファー達の株も乱高下している。この原因となったのは、サブプライムならぬ、ライダーカップだ。4大会、9年ぶりにアメリカチームが制した今年のライダーカップの面白ニュースに迫った。

 メジャーに匹敵する大きな大会とはいえ、ヨーロッパ対アメリカのチーム対抗戦とあって、日本ではほとんど報道されなかった。しかし、久しぶりの米国チームの優勝とあって、アメリカではいまだに興奮が冷めやまずといった状況だ。そうしたなかで、勝因、敗因などの分析が進み、株を下げたプロと男をあげたプレーヤーとの明暗がはっきりついてきた。

 チーム戦の結果は、16.5ポイント対11.5ポイントで、アメリカチームが圧勝したが、アメリカが5ポイント以上の差をつけてライダーカップに優勝したのは、1981年以来の27年ぶり。

 このコーナーでも注目していたアメリカのケニー・ペリーは、ライダーカップに出場するために、全米、全英の両オープンをスキップするなど、一部のプレーヤーやファンは、この試合にメジャー以上の重きを置いていた。

 いわば、ゴルフ界においてオリンピックのような盛り上がりを見せる大会だけに、アメリカではヒーローが生まれ、ヨーロッパでは、株を下げた選手が続出したのだ。

 まずは、ヒーローと言えるのは、ライダーカップ初参加のA・キム(23)、B・ウィークリー(35)、H・メイハン(26)、J・B・ホームズ(26)の4名だろう。何しろこの4人だけで、11ポイントも稼いでいるのだ。

「彼が天才でないとしたら、誰を天才とするのかわからない。23歳ですでにゴルファーとして完成している」とJ・レナードが絶賛するのは、2勝1敗1分けのキムだが、すでに次世代の米ツアーをリードするのはキムではないかとの評価も出ている。

 獲得ポイントとしては、2勝0敗3分けでそのキムを上回ったメ―ハンも「短い間に凄い経験を積んだ。多くのプレーヤーが、こんな経験をした後にメジャーでの勝利を掴んでいる」と本人も語るように、これからが期待されている。

 2勝0敗1分けのウィークリーは「こんなにゴルフが楽しいなんて、考えてもみなかった」と語っていたが、結局の勝因は、「(ライダーカップには)新人が6人もいて、誰もが気軽になった」とベテランのS・シンクが語るように、キムがムードメーカーとなり、自分の力を新人達が出し切れたということなのだろう。

 そして、そうした新人たちをうまく起用したキャプテンのP・エージンガーもその株を大きく上げた。

 一方、敗軍の将となったN・ファルドは、ヨーロッパ、特に英国のマスコミからは、ほとんど袋叩きのサンドバッグ状態。欧州チームで唯一気を吐いたのは4勝1敗のI・ポールターだが、ベテラン達はボロボロだった。

「すごいプレーをする選手達と戦うのは大変だ」とシングルマッチでキムに敗れたS・ガルシアが弱音を吐いていたが、結局、そのガルシアを含めて、P・ハリントン、M・A・ヒメネス、L・ウエストウッドとヨーロッパを代表するといっても過言ではないトッププロ4名は、トータルで0勝9敗6分けの成績。

 ベテランたちがこれでは、どうにもならない。

 アメリカチームのベテランでは、ペリーが2勝1敗1分けで、期待通りの活躍をしたのに対して、1勝2敗2分けのP・ミケルソンに対しては、「彼は本当に世界のナンバー2なのか」とマスコミからの批判の声も出て、株を落としている。

 当初、副主将の申し入れを断り、非協力的といった批判も出ていたT・ウッズは、大会期間中に「10以上のメールによるアドバイスをもらった」(エージンガー)とかで、タイガー株はプラスマイナス0といったところか。

 いずれにしても、アメリカ、ヨーロッパを問わず、総じて、ベテラン勢の株は下降気味で、新興勢力株は急上昇。金融市場でも欧米の名門、大手が軒並み青息吐息だが、ゴルフ界の勢力地図もウッズのいない間にその大きく変わりつつあるようだ。

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