3日間合計22万人、最終日1日だけで11万人もの観客を動員する「F1日本グランプリ」が今年も富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催される。周辺地域の大規模な交通規制やアクセス道路の渋滞が懸念された昨年は、営業そのものを自粛したり、早朝スタートのスループレーに限定したり、サーキット周辺のゴルフ場の多くが「F1シフト」を組んだものの、一転して今年は、通常の営業体制で臨むゴルフ場がほとんどを占めている。
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交通渋滞より“風評被害”のほうが心配と、富士小山GC
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今年のF1グランプリは、昨年よりも2週遅い10月10日(金)から12日(日)までの日程で行われる。ちょうどトップシーズンの3連休と重なるとあって、静岡県東部のゴルフ場関係者の間では、「今年(07年)よりも、2008年のほうがダメージは大きいのでは」と危惧する声が昨年のグランプリ開催前から囁き合っていた。
しかし、蓋を開けてみれば、昨年、金曜日から日曜日まで3日間を全面休場とした富士ヘルスCCと富士グリーンヒルGCが、今年は通常営業。帰りの渋滞を考慮して早朝スタート・18ホールスループレーで営業した富士小山GCも今年はふだん通りに営業を行う。
また、富士スピードウェイからは離れているものの、観客用駐車場と同じアクセス路を利用することから料金の割引やボールのプレゼントを行った裾野CCでも、今年はこれといったF1対策は行わないことに決めている。
F1グランプリ自体は、若干観客席数が減らされたものの、昨年と同規模で行われる。
それにも関わらず、唯一の影響といえそうなのは、レース関係者用として駐車スペースを提供する東富士CCが12日(日)を定休日とすることくらい。
ほとんどの周辺ゴルフ場が、F1どこ吹く風といったふうに対応を変えたのは、「昨年、心配していたほどは道路渋滞は発生しなかった」(複数のゴルフ場関係者)ためだ。
富士スピードウェイで行われるF1グランプリでは、サーキットから離れた場所に設けられた指定駐車場や、御殿場、三島など最寄り駅からシャトルバスで観客をピストン輸送する独自のアクセス方法(チケット&ライド方式)を採用している。
昨年は大雨でバス専用道路が陥没するなど様々な要因が重なって、大勢の観客がレースのスタート時間に間に合わなかったり、雨の中で何時間もバスを待たされた挙げ句に終電車に間に合わなかったりと、後に観客による集団訴訟に発展するほどの大混乱が生じた。
しかし、観客の車を富士スピードウェイ周辺に近づけないという徹底ぶりが功を奏し、また、当日の天候が思わしくなかったことも手伝って、東名御殿場インター周辺は普段の週末よりも渋滞が少なかった。
「社員の通勤にもまったく問題なく、インター周辺の混雑は、御殿場プレミアムアウトレットのセール時のほうがひどいくらい。レース本番の騒音も、雨が降ったせいもあって、それほどではありませんでした」(東富士CC)
「F1観戦客の車は御殿場インターではほとんど下りないので、12日の帰りの高速渋滞さえ避ければ問題はないと思います。むしろ、あまり騒がれることで風評被害につながることが心配」(富士小山GC)
富士スピードウェイによれば、12日の決勝レースが終わるのは午後4時くらいとのこと。この時間帯であれば遅めのスタートでもプレーは終了している時間なので、早めに帰宅すればF1渋滞に巻き込まれることはなさそうだ。
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