米ツアーが、オフに入りつつあるなかで、欧州ツアーでは、さまざまな動きがある。まず、驚かされたのは、欧州ツアー興隆の立役者、セべ・バレステロスのことだろう。実は、先の10月初旬に母国スペインで意識を失なったことがあり、その後の精密検査で脳腫瘍があることがわかった。ほかにも、ジョン・デーリーが欧州ツアーに転進するとの話も浮上している。
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本当は米ツアーに未練がある?
デーリー(左)と欧州ツアーの立役者、バレステロス
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バレステロスは、「私の人生で最も厳しい挑戦」という12時間にも及ぶ脳手術を行って、腫瘍は取り除かれ、手術は一応の成果を見た。「現時点では彼は意識も取り戻し安定している」(病院発表)ということだが、まだ集中治療室に入院しており、予断を許さない状態という。本誌が発売される頃には、詳細がわかることだろうが、早い回復を祈りたいものだ。
バレステロスは、5つのメジャーを含めて、欧州ツアーで50勝。ある意味、この人のおかげで、現在の興隆があるのだが、そのツアーは、さらにもう一歩、大きなステップを踏み出そうとしている。それは、この11月から始まる来季の「ドバイへの道」と名づけられた、シーズンを通しての戦いだ。
来年の11月19~22日のドバイワールド選手権には、総額1000万ドルの賞金をかけて上位60人のプレーヤーが参戦し、さらにこの最終戦後のトップ15人にも、計1000万ドルのボーナスが出るというもの。
いわば欧州版の「ツアー選手権」で、さらなるステップアップが期待されている。これは、トッププレーヤーのアメリカ流出を防ぐ目的もあり、欧州ツアーでは、これまで11試合のメンバーの参加義務を12試合としている。米ツアーのメンバーにならなくても、欧州ツアーでも十分に稼げる土壌を作りつつあるということだ。
「欧州ツアーには、まだまだプレーする機会がたくさんある。それは素晴らしいツアーで、プレーヤー達は、自分が偉大なプレーヤーであることを証明しようと頑張っている」と語ったのは、ジョン・デーリーだが、そのデーリーは、来季の欧州ツアーの参戦を示唆している。
米ツアーでシードを失い、「これまで招待してくれていたツアーのスポンサーが、もう一度チャンスを与えてくれることを望んでいる」とアピールする一方で、米ツアーで十分な招待が受けられない場合は、アジア、オーストラリアで開催されるこの冬の欧州ツアーに出場する公算は強い。
デーリーも、実はこの夏に肋骨の奥にできた膿疱の摘出手術を受けており、回復は遅いものの「やっとすべてがかみ合ってきた」(デーリー)とかで、42歳とはいえ、来季はちょっと期待できるかも?
欧州ツアーのメンバー資格が12試合になったといっても、メジャー4試合にWGC3試合は、カウントされるから、トッププレーヤーたちにとっては、実質5試合出場すればいいことになる。
しかも、来季のドバイワールドは、米ツアーのプレーオフシリーズの2カ月後。となると、欧州ツアーに目を向けるプレーヤーは、デーリーだけではないかもしれない。来期は欧州ツアーからも目が離せない。
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