欧米の男子ツアーは、今季の公式戦全日程を終了した。米男子ツアーに関しては、ビジェイ・シンの賞金王が1カ月以上前からほぼ確定し、もっぱらシード争いが注目されていたが、シニアのチャンピオンズツアーと欧州ツアーに関しては、最後まで賞金王の行方がわからず、混戦の末、それぞれベルンハルト・ランガーと、ロバート・カールソンが王座を射止めた(順位はツアーマニア参照)。
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米シニアは実績あるランガー(上)が、欧州はカールソンが追い上げて賞金王に
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チャンピオンズツアーでは、ランガー(51)、ジェイ・ハース(54)、フレッド・ファンク(52)の3人がデッド・ヒートを繰り広げ、今季3勝したランガーが203.5万ドルで、ハースに4万4000ドルの差をつけて、賞金王に与えられるアーノルド・パーマー賞を獲得した。
シーズンを通して争われるチャールズシュワブカップポイントは、ハースが2556ポイントで、2位のファンクにわずか12ポイント差でトップとなり、こちらは100万ドルのボーナスを手にしている。
「普通何か大きな賞を獲得するときには、その週の誰をも打ち負かしているものだが、16位タイで賞をもらうというのは何か変な気分」とハースが語っていたように、アンディ・ビーンが優勝した最終試合、チャールズシュワブカップ選手権に関しては、このトップにいた3人ともにトップ10に入賞できず、低調な試合展開だった。
ただ、過去2年連続賞金王だったハースが、王座をランガーに明け渡したことは、ハースの衰えを感じさせたといえる。
「今年は良い年だった。年間を通してまずまずのプレーができたし、安定したゴルフだった。何も文句はないよ」と、今年初めてフルシーズンをシニアでプレーしたランガーが語るように、時代はハースからランガーへと変わったかのような印象を与えている。
振り返れば、春先の東芝クラッシックで、ランガーが7ホールのサドンデスプレーオフの末、ハースを破ったのが、象徴的だった。
日本勢といえば、尾崎直道が31位、倉本昌弘が72位。米シニアはフィールドが通常78人と小さいために、賞金によるシードは30位まで。空き枠があれば、50位まで出場できるが、倉本は完全にシード落ちということになった。
この2人に関しては、もう一つ興味深いデータがある。米シニアの平均パット数のランキングでは、尾崎1ラウンド28.32でシニアのトップ。倉本が28.63で3位となっている。
パットで上位にいながら、シード落ちの倉本は、よほどショットとのかみ合わせが悪かったとしか言いようがない。
一方、約270万ユーロを獲得して欧州ツアーの賞金王となったカールソン(39)は、「最終試合のボルボマスターズの前に出場した3試合で、1位、1位、3位と好成績を収め、一気にランキングのトップに上り詰めた」と語るように、秋口までは、ほとんどノーマークの選手で、賞金王は、今年メジャー2勝をしたパドレイグ・ハリントンではないかと思われていた。
しかし、結果はランキング2位のハリントンと30万ユーロの差をつけている。
カールソンは、「賞金王になれるなんて考えてもいなかった。これはゴルフで自分が達成した最高の成果で、信じられないくらいだ」と本人も認めるように、ほとんど無名に近いプレーヤーだった。
しかし、「努力の甲斐があって、過去3年半の間に、自分のゴルフは非常にレベルアップしていた」と語るように、今年のメジャーでは、マスターズ8位タイ、全米、全英オープンでは、それぞれ4位タイ、7位タイと好成績を収めていたのだ。
それが終盤戦で爆発したのだから、当然の結果といえるのかもしれない。
カールソンは、スウェーデン出身の初の賞金王だが、ヨーロッパの選手では珍しい196センチと巨体のパワーヒッター。遅咲きとはいえ、ここにきて小技もうまくなっていることから、来年が楽しみなプレーヤーといえるだろう。
欧州ツアーはオフシーズンがなく、「ドバイへの道」と名付けられた2009年のシーズンが、すでに中国で始まった。
カールソンにすれば、賞金王となった自信と終盤戦での勢いをそのまま、新シーズンに持ち込めるという意味で2009年シーズンの活躍が期待されている。
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