今年8月に民事再生手続きの開始を申し立てていた、不動産開発会社のアーバンコーポレイション傘下のゴルフ場10コースの身の振り方が決まった。10コース中8コースを取得したのは、ゴルフ場買収はこれが初となるファンド。果たしてその思惑とは?
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通算3度の名称変更の富士クラシック、また変わる?
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アーバン傘下のコースは、北海道クラシックGC、北海道クラシックGC帯広、北海道GC、帯広白樺CCの北海道4コース。白河国際CCと郡山熱海CCの福島2コース、富士クラシック(山梨)、阪名CC(大阪)、上伊佐野GC(栃木)、それに建設途中の和泉の郷GC(千葉)の全10コース。
このうち、福島県内2コースは地元の会員有志が引き取ったが、残る8コースを買い取ったのは事業再生ファンドのエーシーキャピタル。これまでにオーケー食品やタリーズコーヒーなどの事業再生を手掛け、オーケー食品は日本製粉に、タリーズは伊藤園に譲渡した実績がある。
現在手掛けているのは、フィットネスクラブのワウディと、平成14年に民事再生手続きの開始を申し立てたフィットリゾートクラブ。河口湖インターから7分のところにあるリゾートホテルである。
エーシーキャピタルとしてはゴルフ場経営の実績はないが、今回は運営会社ごと買収し、スタッフもそのままなので、各コースはオーナーが変わっただけという状態だ。
今回8コース買収に踏み切ったのは、「事業再生の一環で、フィットリゾートクラブとの連携によるバリューアップを考えた」(エーシーキャピタル)ため。
ファンドなので当然いずれは売却ということになるだろうが、「比較的長いスパンで保有する傾向にあり、短期間で転売ということは考えていない」(同)という。
荒造成が未完了の状態で工事が止まっている和泉の郷GC(旧トーハト和泉)については、「工事の再開時期やスケジュールなど、工事の進め方を検討している。ただし、造るのを止めてしまうという選択肢はない」(同)という。
また、今回の買収対象コースのひとつである富士クラシックは、富士中央GC、壮快美健館富士1ばん、そして富士クラシックへと、オーナーチェンジを機に、4年間に2度名称が変わったコースだ。今回のオーナーチェンジでまた変わるのだろうか。
「“クラシック”ブランドは浸透していると考えているので、現時点でコース名を変えるつもりはない」というのがエーシーキャピタルの見解である。
気になる今後のゴルフ場買収スタンスについては「まさに是々非々」。エーシーキャピタルの基本スタンスは事業再生なので、事業再生に有効で買収条件が自社の基準内に納まる案件なら取得していく、という。
今回の買収は100億円近い規模だったと見られており、世界レベルの金融危機で、ファンドも相次いで危機に陥るなか、これだけまとまった額の投資に耐える資金をどこが出したのかという興味も湧く。
一度は行き着くところまで高騰したゴルフ場の値段も今や下がる一方。ゴルフ場買収戦線は新たなステージに入ったといえそうだ。
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