今年はクラブ販売にとっては不作の年だとはよくいわれる。大型ドライバーがひととおりゴルファーに行き渡り、不況の経済状況を前に財布のひもが引き締められ、米国発の金融危機が追い討ちをかけた格好だ。が、そんななかでも売れるクラブは売れている。今年もっとも売れたのはどのクラブなのか、調べてみた。
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ゼクシオは盤石(上)、レディスがランク入りしたのは初。写真はFWのV-iQ CL
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すべてのカテゴリーを通じて『ゼクシオ』の王座は揺るがない。5代目の『ザ・ゼクシオ』となって、ドライバー、アイアンで首位をキープし、フェアウェイウッドでも2位。
また、表には出ていないが、ユーティリティでも1位。ウェッジでもセット物まで入れると実際にもっとも売れたのは『ザ・ゼクシオ』だった。さすがに当初の販売目標には及ばなかったとはいえ、その強さは圧倒的といえる。
「いろいろな理由があると思いますが、打ちやすさというコンセプトが引き継がれていること。また、販売店さんの支援が大きいといえます」(SRIスポーツ・山田照郷氏)
おいそれとクラブを買い替えられない時代になれば、ユーザーの目は自然と実績のある商品に向く。また販売店も冒険は勧めない。不況下でこそナンバーワンの強みが発揮されるようだ。
「打倒ゼクシオ」は叶わなかったがブリヂストンスポーツは新たなマーケットを切り拓いた。女性専用モデルの『V-iQ CL』が、ドライバー(4位)、フェアウェイウッド(3位)、アイアン(3位)と並みいる男性モデルを押しのけて上位に食い込んだ。
女性のゴルフブームの後押しが大きな要因だが、『V-iQ CL』がこのカテゴリーでトップの座を占めたのは、
「03年にコンセプトレディ(CL)を立ち上げて以来、フィッティングイベントを重ねるなど地道に取り組んできた成果」(ブリヂストンスポーツ・嶋崎平人氏)でもある。男性市場が伸び悩むなか、今後も女性市場への期待は大きい。
「米国では女性ゴルファーの比率が約25パーセントといわれていますが、日本ではまだ20パーセントに満たない程度。エントリー層を取り込んでいきたい」(嶋崎氏)という。
上位メーカーが売り上げを落とすなか、「3年連続で対前年比150パーセント達成」と独り勝ち状態を続けているのがヤマハ。『インプレスX4.6D』がドライバーで5位、『インプレスXD』がアイアンで4位に入り、国内ビッグ2のSRIスポーツ、ブリヂストンスポーツに次ぐ地位を着々と築きつつある。
「反発エリアを広げたり、つかまりをよくするといったコンセプトを守ってきたことが、ユーザーに浸透してきたのでは。勢いがついているのも確かですが、上は大横綱ですから。当社はこれからも自分のペースを守っていきたい」(ゴルフ事業部・土田厚志氏)
とマイペースを強調するが、来季は『インプレスi.F.F』を『インプレスX』にリニューアルするなど、この勢いをフェアウェイウッドにも広げようという戦略だ。
パターでは『スパイダー』というヒット商品が生まれた。片山晋呉が使うなどツアーでの広がりと、見た目のインパクトが人気の理由だ。
ヘッドがひと回り小振りな『イッツィビッツィ』や『センターシャフト』など秋以降に発売された追加モデルも好調で、人気は当分続きそうだ。
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