12月12~13日に開催された「日立3ツアーズ」。最終組でプレーした石川遼が、最終18番グリーンでバーディを奪い男子ツアーに逆転優勝をもたらす結果に終わると、各メディアには「08年は遼くんで明け、遼くんで暮れた」といった見出しが躍った。それほど08年のゴルフ界は石川遼にメディアジャックされた一年だった。数字に表れた“遼くん効果”を検証してみた。
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マイナビABCでツアー2勝目。石川遼時代の到来だ
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遼くん効果といえば、12月初め、関西大大学院の宮本勝浩教授がプロ転向後の石川の経済波及効果を202億円とはじき出した。この効果額は、(巨人や阪神といった人気球団以外の)プロ野球球団の優勝に匹敵するというのだから実に凄い。
このなかで遼くん効果によるゴルフ用品やグッズの売り上げ増は、トータルで48億円と計算されていた。その一部、用具の総合契約を結ぶヨネックスでは、もたらされた効果のほどを「上半期までですが、前年比でゴルフ用品全体では2ケタの伸び、ウェアは同じく400パーセントのアップとなりました」(ゴルフ事業部広報課)という。
4~9月期でこれなのだから、その後の石川の活躍を考えると、下半期は更なる売り上げ増が見込まれる。
「ウェアやグッズ類に関しては、シーズン当初から以前はあまりなかった指名買いが、若い年齢層を中心に増えましたが、クラブは8月の関西オープン優勝後に、売り上げが急に伸びました。リシャフトでも遼くんが使っているシャフト(ツアーADクワトロテックMD1)を試される方が急増しています」(有賀園ゴルフ新横浜店 熊谷高店長)
店頭では、石川が身に付けるグッズは軒並み売れる状態で、一部ショップでは欠品になるものも出たという。さらに熊谷店長は、「遼くん効果は今だけのことではなく、子どもたちに対するヨネックスブランドのイメージアップということで、今後も継続してもたらされるでしょうね」と語る。
数字といえば、08年の男子ツアーのテレビ視聴率は、しばらく後塵を拝していた女子ツアーに急接近。最終日の平均視聴率は07年の女子の同7.0パーセントに迫る6・9パーセント。
男子ツアーでは、ジャンボ尾崎と丸山茂樹が賞金王を競り合った1997年の水準にまで一気に戻した。さらに、石川遼が予選通過した試合の中継に限るとその数字は8.2パーセントとなり、プロ野球の巨人戦(9.7パーセント)に迫る。スポーツ中継としては最高クラスのコンテンツになったようだ。
ちなみに、女子ツアーの平均視聴率も08年は07年を上回る7.7パーセントと好調。ただし、そのなかで横峯さくらが08年初優勝を遂げ、話題となったエリエールレディスは、男子で高視聴率をあげたダンロップフェニックスと全く同時間帯だったことが災いし、5.4パーセントと振るわなかった。
遼くん効果が数字に現れたといえば、ギャラリー数がある。ツアー主催者団体の日本ゴルフトーナメント振興協会の調べでは、北京オープンを除く全24試合で、前年を9万7000人余上回る52万515人を記録。7年ぶりの50万人超えとなった。
ちなみに女子も、前年を5万人余上回る、過去最高の57万657人を記録した。
男子の試合でギャラリー数が前年度割れしたのは、九州で開催された日本オープンを除くと、いずれも石川が予選落ちしたANAオープンと東海クラシックの2試合だけ。
石川遼が序盤から好調だったらどれほどの効果がもたらされたことやら……。それは09年の楽しみとしよう。
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