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最終18番で劇的なチップインバーディを決めて、逆転優勝を飾った宮里。その強さは本物になってきた
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米女子ツアーの開幕戦、ホンダPTT・LPGAタイランドで宮里藍が最終日に6打差を逆転してツアー2勝目を挙げた。最終日18番では見事なチップインバーディを決めた。さらに、翌週のHSBC女子チャンピオンズでも首位スタートのプレッシャーを跳ね除け2週連続の優勝を飾った。その強さにはトップ選手にみられるある共通点があった。
プロの試合ではスター選手ほど、ギャラリーの多い18番でバーディをとると言われている。実際にタイガー・ウッズや石川遼もその確率は高い。タイガーは2009年に6勝を飾り、アーノルド・パーマー招待など3試合で最終日バーディフィニッシュ。一方、石川はプロ、アマチュア合わせて6勝のうち最終ホールまで接戦でもつれたミズノオープンよみうり、コカ・コーラ東海、サン・クロレラでいずれもバーディで決着をつけた。
過去にこんな話がある。試合で優勝が決定的だった青木功が最終18番で短いパットを外したことを聞いた中部銀次郎が「最後の最後まで気を抜いてはいけないんだ。負けた相手にこの人はすごいと思わせるのが本当に強い者の勝ち方。次またその人と対戦したときの印象がまったく違ってくるよ」と、どんなに圧勝でも手を抜いてはいけないと青木に話したという。
では、宮里はどうか。17勝のうち7戦がバーディ締め。プロ初優勝のダイキンーキッドレディスでは2位と2打差あっても止めを刺したが、米ツアーでは「気後れしていた」とバーディ合戦になると消極的になっていた。
しかし、09年のエビアンマスターズで米初優勝したことで「自分をコントロールできるようになりました。今回は地に足がついていた」と気持ちも変化し、今回も18番で劇的なチップインを決め、優勝を争ったペターセンに白旗をあげさせた。
野球界でも「打ってほしい」と期待したときに本塁打を打った長嶋茂雄やワールドベールボールクラシックで優勝を決める安打を放ったイチローなど、カリスマは記憶に残る1打を打っている。海外でも本来の強さを発揮し出した宮里から目が離せない。
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