今月10日午後、コース内でクラブをスウィングした途端に火災が発生、周囲の枯れ草を焼くという前代未聞の事故が起きた。以下は当事者に聞いた一部始終。
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50メートルプール1面分の面積を焼いた火事、ラフからのショットは重々気をつけないと?
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舞台になったのは宮城県大和町のミヤヒル36GCの17番ホール(513ヤード・パー5)。3組のコンペに参加していたMさん(58歳・HC13.4)が左サイドのラフの傾斜地から5番アイアンでセカンドショットを打ったところ、後方の枯れ草が燃え出した。
慌てて消そうとしたものの火の勢いが強く、約900㎡を焼失したという。火災自体はコンペの参加者たちと一緒に近くの貯水池の水を汲んで消火に努めて20分後に鎮火した。
現場には火の気がなく、タバコの吸い殻も落ちていなかったというから不思議な現象だが、週刊ゴルフダイジェスト誌連載でおなじみの大槻義彦早稲田大学名誉教授は、
「超常現象でも何でもない。火打石の原理と同じで、クラブが石か砂利に当たって火花が出たのだろう。目には見えないが、普通に打っても火花は出ているんです」と説明する。
当のMさんは「きれいに振り抜け、自分でも納得のナイスショット。何かに当たった感触はなかった」といい、同クラブの加藤久明支配人は「確かにスウィングの際クラブから火花が出ることはあるが、草まで燃えてしまうなんて聞いたことがない」と驚いた様子。
どうしてこんなことが起こったのか? Mさんが使っていたクラブは、米人気ブランドのチタンフェースのアイアン。「チタンはステンレスよりも硬いので、より火花が出やすい」(大槻氏)特徴があるという。
さらに、同クラブでは3月、ラフにリン、窒素、カリウムが成分の肥料をまいていて、これに引火した可能性があること。当日、宮城県内には5日連続で乾燥注意報が出ていたこと。Mさん自身、「ボールがかわいそうだといわれる」くらいにダウンブローに打ち込むタイプだったことなどの諸条件が相まって、確率的にはひじょうに稀な火災という現象に結びついたのでは、と推測される。
Mさんがすぐに携帯電話で119番したため、消防車5台が駆けつける騒ぎにはなったが、大事にならなかったのは不幸中の幸いだった。
午前中45で回ったMさんは、午後には件の17番ホールまで5つのパーを取るなど絶好調だっただけに「惜しかった。あれがなければ」と悔やむことしきりだったとか。
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