ビジェイ・シンが、全米オープンに出場する。当然のことのように思う向きもいることだろう。しかし、シンはワールドゴルフランキング(WGR)で全米オープンに出場できるベスト50位から転落し、USGAによる特別招待によって、ようやく出場できることになったのだ。
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昨年秋には日本ツアーのフェニックスにも出場していたシン
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昨年1月の右ひざの手術が完治したかと思ったら、その後に腰を傷めて、スランプに陥っていたシン。一昨年の賞金王も、昨年は1勝もできずに、米ツアーの賞金ランキングで一時68位にまで落ちてしまった。
それでも、今年はWGR26位でスタートしたが、マスターズ直前のヒューストンオープンで棄権したと思ったら、マスターズから3試合連続の予選落ち。それで、WGRでの全米オープン出場選手が来まる5月24日時点で、WGRを59位にまで下げてしまったのだ。ほかにも全米オープンに出場できる資格をすべて失なってしまったシン。
「マネジャーを通して、USGAに特別招待を願い出たが、一度は断られてしまった。あるゴルフ記者が、それを記事にしたことで、多分USGAが判断を変えたのだろう」と今回の特別招待の裏事情を語っている。
全米オープンには、「体調が戻った上に、今までのスウィングの何が悪かったかがわかった」と、是が非でも出場したかったようで、6月7日に開催の全米オープンの最終予選にまでエントリーしていた。
USGAでは「彼は故障しながらもプレーを続け、そのために、今年急激にWGAを落としてしまった。でも健康を回復し、調子が良くなっている」(トーマス・オトゥール競技委員長)
ということで、特別招待を与えたという。
当初、「(彼を招待すれば)、WGRの51~58位のプレーヤーに不公平になる」としていた、お堅いUSGAも、“世論”によって態度を変えたといったところか。
今回の出場で、シンの現役最長のメジャー連続出場記録は64に伸び、デービス・ラブIIIの連続70回に近づいた。
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