石川遼の高校の2年先輩、薗田峻輔が、ミズノオープンよみうりクラシックでツアー初優勝を飾った。プロ5戦目で、現役大学生での優勝の快挙を支えた父・俊信氏とコーチ、トッド・ベーカー氏が秘話を語った。
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最終ホールも果敢に攻め、バーディで初優勝をもぎとった薗田
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「4月の終わり、一緒に練習ラウンドをしたとき峻輔に聞きました。ツアーを戦う上で足りないのは何だと思う?って。すると彼は“ショートゲーム”と、はっきりと答えました。頭のいい子だから自分の課題がわかっている。心配いらないと思いました」
と語るのは、10年来、薗田のコーチを務めるトッド・ベーカー氏だ。
4月末といえば、薗田が開幕戦から2試合連続予選落ちを喫し、プロの洗礼を浴びていた頃。父の俊信氏いわく「地に足がついていなかった」時期だったという。しかしベーカー氏には薗田のショット力を持ってすれば、「硬くて速いツアーのグリーンにさえ慣れたらすぐに頭角を現す」という予感があったという。
父はこの勝利を「相当な番狂わせです」と謙遜するが、重圧がかかった最終日は「焦りも見受けられず淡々とやっていました。ダメならしょうがないといい意味で開き直っていたようです」。何かアドバイスをしたのかと問うと「なにもありません」ときっぱり。「もう大人ですから口出しはしません。いつも自分を信じてやりなさい、としかいっていません」
中2のとき、自らの意志でオーストラリアへの単身ゴルフ留学を敢行した薗田。当初まったくしゃべれなかった英語は数カ月で「どこでも好きな高校にも入れるレベル」と校長が太鼓判を押すまでに上達。
「本人は口には出しませんが相当苦労したと思います。だから僕はいつも、あんなに苦しんだ人間は他にいない。自信を持てばいい、といい聞っています」(俊信氏)
後輩の石川がプロ入りしてからメキメキと腕を上げる姿を目の当たりにし内心穏やかではない時期もあった。厳しい世界で揉まれて自分も上手くならいたい、という思いからQTを受けることを決意したが、これも本人の意志。父は息子を信じ黙って見守った。
「メンツ保てました」と、かつて“王子”から“王様”と呼ばれた男は照れ臭そうに笑った。
今後は「試合中必ず何回かある3パットをなくすことが課題」(ベーカー氏)。パッティングを磨けば石川に勝るとも劣らない存在になりそうな薗田。ライバル伝説の行方が楽しみだ。
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