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開き直って打ったらパットが入り出して優勝につながった 写真/©PGA
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今シーズン、芹澤信雄、奥田靖己、加瀬秀樹らそうそうたる面々がシニア入りしたが、同ツアー第3戦PGAフィランスロピーシニアトーナメントを真板潔が制し、ルーキー優勝一番乗りを果たした。
「泣きそうなくらい嬉しいです!」
表彰式のスピーチで喜びの言葉を口にした真板の目には涙が光っていた。ここ数年の苦労が走馬灯のように駆け巡った。
レギュラーツアー時代、1990年から2006年まで15年以上シードを守り、2001年にはサントリーオープンで1勝。その矢先の2002年、新潟オープン出場中に左足首靭帯断裂の大ケガを負い、以降思うようなゴルフができなくなった。
勝星は1つだけ、2008年からシード権を失いQTも失敗続き。チャレンジツアーに参戦するも結果を出すことはできなかった。
「年齢とともにショートゲームの感覚が鈍ってしまった」と、武器だったグリーン周りで苦戦。しかしフィランスロピーでは最終日の15番から6メートル、4メートル、2メートルを次々と沈め3連続バーディを奪って後続を振り切った。
「ずっとワンピンくらいのパットが入っていなかったから開き直って適当に打ったら入り出した。ゴルフって不思議ですね」
奇しくもサントリーで勝ったとき同組だった湯原信光が今回も一緒だった。普段ネガティブなところのある真板だが「めぐり合わせかな。自分に流れがあるのかも」と思えたのだとか。
私生活でも長年独身を通してきたが2006年に結婚。今では3人娘の父でもある。「お孫さんですか、って言われちゃう年齢ですよ」と苦笑いするが、子煩悩な父親の一面もある。
人付き合いが苦手でスポンサーもなく、フリーの立場でツアーを戦ってきたため、ここ数年で収入は激減した。昨年から相模原(神奈川県)の練習場でアマチュアにレッスンをして生計を立て始め「お金を稼ぐのはこんなに大変だったのか」と骨身に沁みた。
苦しい時期に一緒になってくれた妻と可愛い娘たちのためにも、真板は、
「シニアに出ながらレギュラーツアーのQTを受けて、もう1度ツアーに挑戦したい」と決意を新たにした。
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