3月11日(金)に起こった大地震は、ゴルフ業界にどれほどの影響を与えたのか。ゴルフ場、メーカーなどに聞き取り調査を行った。
|
※玉造GC若海コースは現在、
4月29日以降で営業再開調整中です。
|
|
まずゴルフ場の被害についてだが、北海道、秋田、青森はコースが雪で埋もれているので実害ははっきりしないとのこと。東北・北関東のゴルフ場の状況は、
「まだ実態をつかめていない部分も多いが、特に宮城はひどい。連絡すら取れないところが多い。福島ではいわき地区がかなりひどいようだ。いわき地区~浜通りは退避命令が出ているので、ゴルフ場はどこもクローズしている」(日本ゴルフ場支配人会連合会・田村和男会長)
アコーディアは客と従業員の安全を確認し、宮城、福島の全コース(計5コース)をクローズ。利府GCを含む宮城県の6コース、福島県の2コースを営業停止しているPGMグループは地震災害対策チームを社内に設置し、被害状況の情報収集にあたっている。
小名浜CC(福島県)は「従業員の安否確認中」、烏山城GC(栃木県)は「ケガ人はいなかったと思うが、被災者の詳細は把握できていない」といい、地震発生から一週間経っても、情報収集に追われているゴルフ場は多い。
メーカーの工場の被害、製造ラインはどうなのだろうか。
「工場(山形県酒田市)に被害はなかったが、計画停電で営業休止になる可能性がある」(本間ゴルフ)
「製造に支障はなし。仙台、盛岡の営業所は、建物自体は大丈夫だったが、インフラに問題がある」(ミズノ)
「静岡でも大きな地震があったが、震源地から離れていたので大丈夫だった。倉庫や製造は問題ない」(ヤマハ)
「人的被害はなかった。仙台と本社の建物に軽い損傷を受けた」(ヨネックス)
「工場の被害はなかったが、宇都宮にある倉庫のなかの物が散乱したので片付けている」(マルマン)
今回、一番、影響を受けたのが藤倉ゴムで、
「福島にある工場は、建物の倒壊はなかったが、原発から近い距離にあるため、従業員は全員避難している。避難勧告が解除されるまで営業停止の予定」ということだった。
「生産への影響はなし。仙台の支店の建物も損傷はなく、復旧に向けて動いている」(SRIスポーツ)というコメントも。しかし、現時点では製造に支障がないメーカーも、物流の関係で今後、納品が遅れる可能性があるという。
今回の地震は、被災地以外のゴルフ場や、ゴルファーにも影響を与えている。コース自体には全く被害のなかった関東の地域でも、ゴルフを自粛するゴルファーは多い。
「君津方面(千葉県)のゴルフ場で13日(日)ラウンドする予定だったが、アクアラインが通行止めになっていたし、いつまた地震が来るかわからないのでキャンセルした」(神奈川県在住のゴルファー)
というように、地震に対する不安やガソリン不足、道路の通行止めなどにより、東京、千葉、埼玉などのゴルフ場はキャンセルが相次いだ。
「11日(金)は100名ほど来場されていましたが、翌日から16日(水)まではお客様がいなくて営業になりませんでした。17日(木)に月例を開催して全体で7組、その週末もそのくらいです」(千葉県・千葉国際CC)
また、東京電力が14日(月)から「計画停電」を発表・実施しているため、節電のためにゴルフ場、練習場などは営業時間を短縮。電話・ファックス、照明や暖房、給水・給湯施設だけでなく、パソコンやカードリーダー、貴重品ボックス、電磁乗用カートなどにも支障が出ている。
さらに、ゴルファーも電車の運休や、ガソリンの供給不足で足が奪われている。沈みがちな雰囲気のなか、プレー客に早く戻ってきてもらいたいと営業を再開するゴルフ場もある。
コース自体に被害はなかったが、ライフラインの問題で営業を停止していた新・西山荘CC(茨城県)は、風呂、レストランは利用不可だが、平日3,500円、土日祝5,500円(税込、3月末まで)で3月19日(土)から営業を再開した。乗用カートのガソリン節約のため、担ぎを推奨(1,000円引き)している。同時に、チャリティゴルフコンペの主催者も募集するとのこと。
「京都や兵庫など西日本のゴルフ場でもキャンセルが出ていると聞く。こうした風潮は避けたい」(前述の田村会長)
被災地が復興し、国内のゴルファーが安心してゴルフを楽しめる日が早く来ることを強く願う。
【関連記事】
2010/ 3/ 2 毛布持参で割引。ゴルフ場が始めたハイチ支援
2007/ 8/ 7 中越沖地震、ゴルフ場への影響は?
2007/ 4/17 能登半島地震、ゴルフ場の被害は微妙なものの
2005/ 4/19 今年も地震災害が心配な日本のゴルフ場
|