ランバックスシリーズとしては、「F09」以来2年振りとなるニューモデル「ランバックスプラチナ」が当初予定から3カ月遅れの7月25日に発売された。
今年のマスターズ勝者のC・シュワーツェル、全米オープン勝者のR・マクロイがともに初期モデルの「7V05」を使用するなど、ランバックスはプロの世界でも根強い人気を誇る。優れた方向安定性と操作性が最大の長所だが、「プラチナ」はこれに弾きのよさをプラス。
火星探査機やサッカーのゴールネットなどにも利用されている特殊繊維、ベクトランは振動減衰性(振動が伝わりにくい)と強度においてカーボンをはるかに凌ぎ、シャフトの余計な動きを極限まで抑える。その結果、復元力を最大限に生かせるようになり、しなり戻りが速く、強い弾き感のあるシャフトをつくることが可能になった。
発売日が遅れたのは東日本大震災の影響だ。福島第一原子力発電所から11キロしか離れていない小高工場は、生産はおろか立ち入りすら不可能。一時は生産をベトナム工場に移管しようとしたが 「メードインジャパンで生きてきた会社だし、従業員の雇用も大事。何とか日本でつくろうと、一旦はベトナムに送った芯金や材料を送り返してもらいました」(藤倉ゴム工業スポーツ事業部・甲斐哲平氏)。
幸いにも以前の生産拠点、福島県内の原町工場に機械類が残されていたため、生産ラインを再構築し、5月連休明けの出荷再開にこぎつけたが、生産能力は震災前の3割減で、とても新製品までは手が回らない。
しかし、驚くほどの問合せと、「発表した以上、世に出したい」(同氏)との思いが発売を後押しした。新モデルはフジクラ復活、東北復興の旗印だ。
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