全米プロで、期待されながらも予選落ちした石川遼。その要因は初日の池ポチャにあった。その数なんと6回。自己ワーストスコアの85、最下位というおまけまでつく始末。池ポチャ6回の原因を探ってみると。
それは舞台となったアトランタアスレチックCの「造形」にあるようだ。1898年に設立され、球聖ボビー・ジョーンズゆかりのコースとして知られ、60年代になって現在の地に移った。設計はR・T・ジョーンズだが、今年の全米プロ開催にあたりリース・ジョーンズの手で大幅改造。01年全米プロが開催されたときより254ヤードも伸び7467ヤード・パー70と、ツアーの舞台で世界一のタフなコースとなっている。
ではその距離の長さが遼の池ポチャ85の原因?
「私は距離よりも、芝の種類が変わったことの方が大きいと考えています」とは、同コースを隅から隅まで歩いたという設計家の川田太三氏。
フェアウェイはコーライ、グリーンとラフはバーミューダグラス(ティフトンの新種)。米国も温暖化によって、ベント芝から暑さに強いバーミューダ芝へと転換が進んでいる。
「このティフトンの新種は進化して茎が細く、芽数も多い。それゆえボールがベント芝よりちょっと沈んでしまうんです。そのぶんダフリやすくショートしやすくなる。もう一つはフェアウェイでも微妙な傾斜があるんですが、そうは見えない錯覚が仕込んであります。その“見えない傾斜”がクラブの芯に当てることを難しくしているのでは。芯を外せば当然、飛距離は落ちますよね」(前出・川田氏)。
それにジョーンズの設計思想は「オール・オア・ナッシング」つまり“緩衝地帯”がなく、10センチ先にいけばバーディ、10センチ短ければ池の餌食といった具合だ。
アトランタといえば、名作「風と共に去りぬ」の舞台。風ならぬ水と共に、遼去りぬ?
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