石川遼、久保谷健一、立山光広。奇しくも石川が初優勝した07年マンシングウェアの最終日、最終組と同じ顔ぶれになったキヤノンオープン最終日。その再現となれば当然のことながら石川の優勝が予想されたのだが、混戦を制したのは39歳のベテラン、久保谷健一だった。
9年ぶりの優勝だというのに久保谷の口を突いて出るのはボヤキばかり。とにかく自分のショットに納得がいかないのだ。まずは「1番からティショットは左、左、左ばかり。きつかった」と狙い通りに飛ばないドライバーが気にいらない。
勝利を呼び込んだ3番パー4でセカンドが直接カップインするイーグルも「気休めにしかならなかった」とぽつり。ギャラリーの大歓声でイーグルを確信した親友の立山がハイタッチをしようと右手を挙げて近づくも、「ちょっと寄っただけでしょ?」と手を出さず。さらに、5番パー3で入れごろの距離から3パットすると「オレってこうやって崩れてゆくんだよな」と久保谷の頭の中は悪い方へ悪い方へと傾く。しかし、石川遼も含め優勝圏内にいた他の選手がスコアを伸ばせない一方、久保谷は難しい17番パーでバーディを奪い2打差で優勝。それでも「棚ボタ優勝。世のなか狂っている」とぼやく。どうにも優勝を素直に喜べない様子なのだ。
9年ぶりの優勝に、そんなに優勝していなかった? と意外なはず。今年の全米オープンで予選を突破。09年の全英オープンでは、初日に首位と1打差の2位、2日目に2打差の4位と、最終的には27位だったものの、7人の日本人選手の中で最上位になる活躍を見せた。
昨年はアジアンツアーのQTに合格し、ランク44位でシード獲得。今季は6試合を終えたところで同ツアーのランク38位につけている。同ツアーの出場義務試合数は9。あと3試合に出なければならず、多忙なスケジュールになりそうだ。
日本オープンの予選に失敗し、キヤノンの次週の日本オープンウイークは「これでゆっくりできる」と家族旅行を計画していた久保谷。ところが、今回の優勝で出場権が獲れると聞かされて、旅行はキャンセル。「趣味は子育て」というほどのマイホームパパの久保谷にとってうれしい誤算の優勝でもあった。
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