週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/27号
2011/12/19更新

プレイバックRYO2011。
未勝利、賞金ランク3位もチャリティ額は1億3000万円超

 日本シリーズ3位で今季の戦いに幕を下ろした石川遼。2011年のシーズンを振り返ってもらった。


7月には選手会メンバーで宮城県の避難所を訪れ、炊き出しを実施。遼はカキ氷係だった

――未勝利のまま1年の戦いを終えました。

石川 悔しいです。でも、常にその時できる最善のことをやっていけば、後悔はしない。1、2年目の頃は「自分はプロゴルファーの中で一番下手だ」と思いながら「もっとできるんじゃないか」と追求する気持ちが強かった。今後も常に満足しない姿勢で戦っていきたいです。

――今季は特に「ゴルフの難しさ」について言及することが多かったですね。知れば知るほど、ゴルフが難しくなってきた、と。

石川 知識や経験はあるにこしたことはないけど、いかにそれを整理するかが大事。(最終戦で優勝を争った)藤田寛之さんや谷口徹さんは、知識や経験を整理し、過去の失敗などを克服する能力が高いからレベルの高い戦いができる。よいショットの後も、悪いショットの後も、新しい気持ちに切り換えて臨むことが大事です。失敗もたくさんあるけど、次のショットを打つ瞬間は忘れるくらいの集中力や精神力が必要だと思います。

お手本は武藤。
風に負けず、
常に320ヤード飛ばす
スウィングを目指す

――「1日に1センチ、1年で3~4ヤード伸ばす」という目標を掲げていますが、ドライビングディスタンスは、昨年の296.79ヤード(3位)から、290.78ヤード(9位)に後退しました。

石川 今年は正直、プロになってから最もスウィングがコンパクトだった年。いつの間にか飛距離が出ない打ち方になっていたかもしれません。試行錯誤しながらいろんなスウィングに取り組んできましたが、ドライバーの曲がりがなかなか抑えられず、タイミングが合わないことが多かった。  最近になって、もっとトップの位置を高く、肩を大きく入れるスウィングに挑戦した結果、飛距離が出るようになりました。自分にとってドライバーの飛距離が最大限に出せるスウィングがベスト。最終戦でようやくつかめた感じがします。だから最終戦を終えたからといって、区切りをつける必要はないし、来年というより明日に向けて頑張っていきたいです。

――将来的にどこまで飛距離を伸ばしたいですか。

石川 平均で300ヤードという数字を突破できる選手は、一緒に回っている組の選手たちの常に10~20ヤード先にボールがあるイメージですよね。そして、平均で300ヤードを超えるためには、コースによっていろんな条件がありますから、常に320ヤードは飛ばさないと突破できない。平均飛距離で10~15ヤード伸ばしていくのは、5~6年かけてやっていくものだと思います。

――日本シリーズの直前には、ローリー・マクロイとテレビマッチで共演しました。飛距離やスウィングの参考になったのではないですか。

石川 マクロイは、以前に比べて筋肉質になってスウィングも速くなった。コマみたいに軸があって、安定していますよね。マクロイだけでなく、メジャー大会に行った時などに、仲田健さんとともにトップ選手たちの体の動きは研究しています。今年とくに参考になったのは、武藤俊憲さん。体重移動をフルに活かしたスウィングは自分に近いかなと。ただ、自分と違うのは、アドレスの前傾姿勢がフィニッシュまで保たれているところ。体が起き上がることがないので、球も曲がらないし、風にも負けないし、飛びますから。

――トレーナーの仲田さんは、石川選手の現在の肉体は「理想の6割程度」と話されています。

石川 4年前から仲田さんと肉体改造に取り組んで、毎年、自分の筋肉が変わってきているのを実感しています。仲田さんと話をしながらトレーニングやストレッチ、マッサージをして、体に気を遣いながら戦ってきました。その成果が最も現れたのが今年だったかもしれない。去年までなら、疲れの出る終盤になると、食事の量が減ったり、トレーニングができないことがあったりしたんです。選手は「自分の体のことは自分が一番分かっている」と考えるものですよね。だから仲田さんにはご苦労をおかけしていると思います。今年は、僕自身がトレーニングをやりたくなくても、仲田さんがやらせてくれた。その結果、体力が落ちず最後まで戦えたし、1年間、風邪を一度もひかなかった。去年の今頃は体重が65キロでしたが、今年は70キロ。正直、ここまで体を大きくできるとは思っていなかったので、仲田さんにはほんと感謝しています。飛距離アップのためにも、あと3~4キロは増やしたいですが、同時に体の柔軟性も大事だと思っています。




小学生の頃の夢が
プレッシャーに
なることはない(笑)

――石川選手は、小学6年生の時の卒業アルバムに「20歳でマスターズに優勝する」と書いていますが、来年はその20歳で迎えるマスターズです。

石川 もちろん小学生の頃の夢がプレッシャーになることはありません(笑)。

――しかし、まだ出場権が得られていません。オーガスタへの切符を手にするためには、世界ランキングで年内に50位以内に入るか、開幕の前の週に50位以内に入る必要があります。

石川 年末の段階で出場を決めるに越したことはないんですが、たとえ出場権が取れなくても、まだ4カ月近くチャンスがもらえる。険しい道ですけど。

――今年のマスターズでは、3度目の挑戦で初めて予選を通過し、20位に入りました。その後、1年を戦って「マスターズ優勝」という夢に近づいた実感はありますか。

石川 1年前の自分と比べるのは難しいですが、今年の4月より全体的によくなっていると思います。マスターズで結果を残せるかは、自分の集中力がマックスの時にどうパフォーマンスできるか。そこだと思います。

――男子ツアー開幕前に、東日本大震災が起き、今季の獲得賞金全額と、バーディ1個につき10万円を義援金にあてられました。目標の2億円には届きませんでしたが、義援金は総額で1億3000万円を超えました。

石川 4月のマスターズ開幕前に、東日本大震災の被災者の方々をサポートしていくと決断してから、ノンストップで来ました。自分に発破をかけるため、あえて2億円という目標金額を設定しましたが、遠く及びませんでした。しかし、この1年、スポーツの力を実感しました。どういう形かわかりませんが、今後何十年という間、被災者の方をサポートしていく立場に、僕はあると思っています。

 
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