最終日の上がり4ホール連続ボギーでアダム・スコットがメジャー初勝利を逃したのと同日、アメリカでは27歳のスコット・スターリングスがトゥルーサウスクラシックで優勝。大西洋を隔てて二人の“スコット”が明暗を分けたというわけだ。
全英史上に残る逆転劇といえば99年ジャン・バンデベルデが最終ホールで3打のリードをはき出し、ポール・ローリーに敗れた“カーヌスティの悲劇”が有名。今回のスコットの逆転負けはそこまでのインパクトはないが、悲劇的なのは確か。勝ったエルスは「スコットのことを思うと辛い。仲の良い友人だし自分も同じ経験をしているから胸が痛い。あまり自分を責めないでほしい」と思い遣った。
「ここにいるのも辛いくらい。本当はなにも喋りたくない」と記者会見で絞り出した言葉以上にスコットの表情は辛そうだった。
思えば母国豪州のヒーロー、グレッグ・ノーマンも何度メジャーで苦渋をなめたか。ときにはプレーオフで相手に奇跡のチップインを決められ、ときには6打差を最終日に引っくり返された。「僕にとってノーマンはこれ以上ないお手本。負けても自分を律する姿を我々に示してくれた。自分も次のチャンスがあれば、そのときはもっとうまくやる」(スコット)
一方のスコット・スターリングスは雨で3日連続サスペンデッドとなったタフな状況のなか、通算24アンダーをマークし優勝を飾った。実は今季、肋骨と腰の故障で出場19試合中12試合予選落ち。故障が癒えた途端の快挙に「体調の不安なくティグラウンドに上がれる幸せを噛みしめた。朝起きて、大好きなゴルフができる幸せは何ものにもかえがたい」と喜びを爆発させた。
英国でスコットが泣き、米国でスコットが笑う。2度目の全英オープンチャンピオンに輝いたエルスは奇しくもいった。「勝者がいて敗者がいる。それがゴルフ。いつそれが逆になるかわからない」
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