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石岡GCはアコーディアのゴルフ場だ
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11月15日(木)の株式取引が終了した午後3時。ゴルフ場運営2位のPGMホールディングスが同1位のアコーディアゴルフに対するTOB(公開買付け)の開始を宣言した。
TOBとは、市場に対して、自分はどこそこの会社の株を大量に買いたいので、「株主のみなさん、どうぞ私に売ってください」と宣言して株の買い集めをする手続きだ。買いつける価格、応募期間などを決めて公表する。
今回は11月16日から来年1月17日までの約2カ月間。買いつけ単価は1株8万1000円。11月15日のアコーディア株式の終値は5万3200円だったので、市場価格の1.5倍となる計算だ。今回PGMが取得を目指す最低ラインは発行済み株式総数の2割で、最高ラインが過半数にあたる50.1パーセント。過半数がとれたら統合に反対する取締役をクビにすることも可能になる。
同日午後5時から開催された記者会見の場でPGMの神田有宏社長は、今回のTOBの目的を「アコーディアの経営陣に、経営統合交渉のテーブルについてもらうための手段」であると説明した。
神田氏は今年1月、アコーディアの竹生道巨前社長らアコーディアの幹部に対し、個人的に経営統合を提案するも、PGMの経営状態が今ひとつなので時期尚早、という回答を突きつけられている。その後、アコーディア内のコンプライアンス問題が発生したため、交渉はいったん凍結されたが、「コンプライアンスが正常化し、太平洋クラブの買収がとん挫したことで、アコーディアの企業価値の棄損も回避することができた」(神田氏)。加えて、6月以降、PGMの業績は急改善しており、「機は熟した」と判断したものの、「最低でも2割くらいの株を保有していないと、アコーディア側も聞く耳は持ってくれないだろうからTOBに踏み切った」のだという。
神田氏はアコーディアの役員を務めていたころからの筋金入りの“統合論者”。成長が鈍化した2強のさらなる成長には統合以外ない、というかねてからの持論を、会見の席上で熱っぽく語った。
一夜明けた16日の証券市場。アコーディア株はいきなりストップ高を付けたまま買いが殺到、売りが出ないまま取引を終えた。なにしろ“8万1000円で買う人”が現れたのだから、ストップ高は続き、て近く8万1000円近辺に達するだろう。
注目に値するのは、PGMの株価も一時ストップ高をつけたことだ。終値こそやや下げたが、市場が2社の統合を評価したことは間違いない。
TOBは、事前に買いつけの対象になる相手先と協議をし、相手先の取締役会が賛同したら友好的TOB、反対したら敵対的TOBになる。
今回、PGMは事前協議なしでTOBを開始しているので、アコーディアはこれから1~2週間以内に賛同するのか反対するのか、意志を決めなければならない。
事前協議なしのTOB開始は行儀が悪いといえば悪い。やられる側にとってこれほど不愉快なことはない。とはいえ、市場は統合交渉の場作りのためのTOBを評価した。
“不愉快だからイヤだ”とはいえないアコーディアとしては、今後、難しい対応を迫られることになったのは間違いないだろう。
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