来年シニア入りする大物、ビジェイ・シン(フィジー)に突如持ち上がった薬物使用疑惑。ゴルフ界に激震が走っている。殿堂入りのベテランになにがあったのか?
騒動の発端は米スポーツイラストレーテッド誌の報道だった。同誌のインタビューに対しシンがツアーの禁止薬物である鹿の角を成分としたスプレーを使用したことを認めたのだ。
報道によると、シンは昨年11月に9000ドル(約82万円)でスプレーを購入。「アスリートのパフォーマンス能力を上げる」といわれるそれを、毎日2時間ごとに使用したという。
鹿の角のスプレーには筋肉増強作用があるとされる成長ホルモン「IGF-1」が含有されており、スポーツ界では広く禁止物質に
指定されている。
これを受けて、シンはフェニックスオープン開幕前日にコメントを発表。「スプレーを使用したことは事実ですが、それにPGAツアーの禁止薬物に含まれていることはまったく知りませんでした。私自身とてもショックを受けています」としたうえで、同大会から腰痛を理由に棄権した。一方、PGAツアー側は「調査中」とし、現段階で処分などは発表していない。
ツアーメンバーには「グリーンシート」と呼ばれる細かい規約を記した書類が配られており、そのなかに「IGF-1」が禁止薬物の1つであることが明記されている。しかしシンに近い選手は「グリーンシートの内容を隅から隅まで熟読しているプレーヤーなんて
いない。シンも例外ではない」と同情的な意見を述べている。
とはいえトッププロらしからぬ出来事。かつて参戦した豪州ツアーやアジアンツアーでもスコア改ざん疑惑や金銭問題などさまざまな騒動を巻き起こしてきたシン。そのため世界ランク1位になっても賞金王になっても、欧米のマスコミの反応は冷ややかだった。そして再び巻き起こった疑惑にシンは「PGAツアーの調査には全面的に協力する」と語っているが、今回の騒動は“レッドカード”近い?
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