週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/10

2013/12/3更新

故郷を襲った台風30号
Ｊ・デイの親族８人が帰らぬ人に…

　フィリピンを直撃した台風30号がもたらした甚大な被害はいまだ各メディアで取り上げられているが、実は思わぬ人の親族が災害に巻き込まれていたというニュースが飛び込んできた。

　その人物とはフィリピン人の母を持つジェイソン・デイ（豪）。折しも母国豪州で開催のワールドカップにアダム・スコットとのコンビで出場するという大事な時期に、デイは母方の祖母を含む８人の親戚を台風で亡くしていたのだ。

　デイの母デニングさんは、およそ30年前に豪州に移住し同地の男性との間にデイをもうけた。自らの母（デイにとって祖母）を台風で亡くしながら、大舞台（ワールドカップ）を目前に控えた息子にはその事実を伝えずにいた。

「地元開催の大事な試合ですし周りがものすごく期待していますから。彼には余計なことを考えさせずゴルフに専念させたかったのですが……」だが、やがてニュースはデイの耳にも届き、被害が大きかったレイテ島タクロバン在住だった祖母の他、叔父１人と従兄弟６人が犠牲となったことを知る。

「祖母の住んでいた地域は台風で跡形もなくなりました。一番辛いのは情報がないこと。安否を確認する術はマニラに住んでいる親族のフェイスブックだけが頼りなんです」（デイ）。

「母の心境を思うと言葉がない」といいながら気丈に心境を打ち明けたのは「自分が口を開くことで世界に惨状を伝えられれば救援活動の役に立つ」という思いがあったから。

　犠牲者はおよそ４０００人。いまだ１５００人以上が行方不明という現状に日本で活躍するフィリピン人プレーヤー・ジュビック・パグンサンは「自分の家族は無事だったけれど、デイのニュースを聞いて胸が痛みます。地球がどこかおかしくなっているのかも」と被災者を思いやった。

　果たしてデイは母の祖国の皆に優勝のニュースを届けることができるだろうか……？