ジュリエッタは、Alfa Romeo. D.N.A.システムを搭載
Alfa Romeo. D.N.A.システムといってもなにも遺伝子のハナシではない。「Dynamic」「Natural」「All weather」の頭文字をとったもので、3つのモードごとにセッティングを変え乗り味に変化を付けるシステムを表している。
電子制御システムが発展する昨今、各社こうしたシステムを持っているが、それをAlfa Romeo D.N.A.システムとまとめるところはさすが、といいたい。ネーミングのセンスのよさはピカイチ。イタリア人のユーモアさえ感じる。彼らはこのシステムをジュリエッタとミト、そして2シーターミッドシップの4C(フォーシー)と全モデルに搭載。まさに、アルファロメオの‘D.N.A’だ。
モードの切り替えで、エンジン出力やトランスミッションの変速タイミング、アクセルのレスポンス、それとトラクションコントロールなどの電子制御システムが反応する。たとえば、「Dynamic」モードで走るとステアリングの反応が高まり、さらにシフトチェンジに要する時間が短縮される。要するによりスポーティなドライビングが楽しめるというわけだ。ATモードでこれだけ回転数を引っ張れるクルマは多くない。この感覚は一度味わうと抜けられないだろう。このあたりはさすが、レースシーンでも輝かしい実績を積み上げてきたアルファ ロメオだ。レースで培われた走りの経験則、技術力が生きている。
早朝ゴルフ場へ向かうときはこのモードを使う。特にゴルフ場へ近づいたときのワインディングでそれを試すことをオススメする。操作系に対するレスポンスのいい走りは脳の覚醒に一役買いそうだ。朝一ショット前の肩ならしとでもいえるだろう。“スポーツ”はこの時点で始まっている。
そもそもこういった「Dynamic」モードが必要なのはイタリアには峠が多いからだ。北から南まで“長靴”の内陸部は山々が連なる。ミラノからパルマ経由でシエナまで走ったことがあるが、高速を使わなかったのでそのほとんどがワインディグンだった。その意味からもAlfa Romeo D.N.A.システムはじつによくできている。ドライバーの意を汲み取るとはこのことだ。
それと同時にこうした地形がイタリア人をクルマ好きにしている気がする。ワインディングを素早く走るのは気持ちよくかっこいい。そしてそれに長年応えているのがアルファロメオのクルマということになる。山々をこだまするスポーティなエキゾーストサウンドを含め、その官能的な走りに虜になったドライバーは多いはずだ。
そして帰り道は「Natural」モードが最適なモードとなる。市街地や高速道路を想定したセッティングは、快適かつ省燃費な走りができる。ゆったりした走りの中で数時間前にまわった各ホールを思い浮かべるのは楽しい。ロングホールの2打目。ツーオンは逃したものの花道からの絶妙な寄せに酔いしれるのもワルくない。「次のラウンドではツーオンも可能かも……」、なんて妄想も膨らむってもんだ。
1964年生まれ、東京都出身。広告会社に勤務の後、自動車雑誌「カー・イー・エックス」(世界文化社)副編集長、同「アメリカンSUV」(エイ出版社)編集長などを経て、フリーランスとなる。その後、副編集長として男性雑誌「レオン」(主婦と生活社)の編集に従事。現在は、自動車評論家として、主に自動車関連の雑誌やウェブサイトに寄稿するなどしている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カーオブザイヤー(2008-2009)選考委員。