世の中には味覚以外にも“味”というものがある。「あいついい味だしてるよな~」とか、
「あの色味わい深い…」といったように。ファッション業界でもそうで、ダメージ加工された
デニムを「味だしデニム」とか紹介したりする。新品の無垢なものとは対局な感じだ。
となると、私の愛用するピンアイ2ベリリウムなんかは相当な“味だしアイアン”と呼べる
かもしれない。
それはともかく、クルマにも“味”はあるし、それは重要な要素ともなる。メーカーは
それはわきまえていて、あえての薄味や濃い味を演出したりする。
アルファロメオはそんな中でも濃い味の代表選手といえるだろう。万人受けを目指す
同クラスのドイツ車とは一線を画す。一度そのステアリングを握ればわかるが、個性が際立つ。
単なる移動する手段ではなく、ドライバーと対話する相棒ともいえる存在だ。
なので、ゴルファーにとって早朝こいつのステアリングを握ることはメリットがある。
ぼんやりした薄味のクルマとは違い、頭からカラダまでシャキッとするからだ。
そんなアルファロメオの主力車種ジュリエッタがさらに進化した。
フロントグリルはよりエモーショナルに、フォグランプベゼルをクロームにすることで艶も出た。
それにこのタイミングで、アルミホイールのデザインも変更している。全体的にはより精悍さが増し、存在感が強まったと思える。
そもそもアルファロメオのデザインはそんな傾向が強い。他ブランドにはオンリーワンのテイストで仕上げられる。つまり、独自路線を貫くことで、ブランドバリューを高めているのだ。
と同時にそれがイタリアンブランドの強味でもある。巨大メーカーが最大マーケットの北米や中国ウケを気にしようと、彼らはそこにポイントをおかない。
「イタリア人がかっこよく乗れるクルマ」というのを前提としている。というか、そうに違いない。
ちょっぴり派手な色使いのジャケットを羽織って、素足にスリッポンを履くようなスタイルで乗ってサマになるのが、アルファロメオなのだ。まさに映画「ナイン」のような世界観である。
フェデリコ・フェリーニの自叙伝的ストーリーの映画だ。確かスクリーンに登場するクルマもまたアルファロメオ。
ジュリア・スパイダー・ベローチェあたりだったと記憶する。
インテリアはインパネを中心にスイッチ類のレイアウトをスタイリッシュに。
ステアリングホイールまでもが伝統の盾型グリルを模したデザインに変更されている。
といった内容を見ても、ジュリエッタはまさにスタイリッシュなゴルファーにうってつけだ。
さらに高められたデザイン性とゴルフウエアにもこだわるゴルファーの相性は非常に高い。
まずは自身の目で見て、是非試乗を。
1964年生まれ、東京都出身。広告会社に勤務の後、自動車雑誌「カー・イー・エックス」(世界文化社)副編集長、同「アメリカンSUV」(エイ出版社)編集長などを経て、フリーランスとなる。その後、副編集長として男性雑誌「レオン」(主婦と生活社)の編集に従事。現在は、自動車評論家として、主に自動車関連の雑誌やウェブサイトに寄稿するなどしている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カーオブザイヤー(2008-2009)選考委員。