映画の中のアルファ ロメオと言えば、まずは「卒業」が真っ先にあがる。若かりし日のダスティン•ホフマンが転がすスパイダーはかなり印象的だ。ただ、個人的には「NINE(ナイン)」のジュリエッタスパイダーの方がしっくりくる。映画監督の私生活を艶っぽく扱った内容は、まさにアルファワールド全開だ。ミッドセンチュリーのデザインがオシャレな世界観を築く。
それじゃ現代車両が出てくる映画はと言えば、昨年公開された「ワイルドスピード•ユーロミッション」となる。カーアクションが全編で繰り広げられる作品に、真っ赤なジュリエッタが登場する。スクリーンを駆け回るのは飛行場でのシーン。旅客機と格闘するのに使われた。限界走行するその姿はじつにかっこいい。骨格となる走行性能の高さを伺わせる。
冒頭からナニがいいたいかといえば、こうした映画にはアルファの魅力がふんだんに散りばめられている。オシャレで艶っぽく、かつ高い走りのポテンシャルを持っているのがアルファ ロメオなのだ。
そんなアルファ ロメオをゴルファーズヴィークルとしてゴルフ場への足にしようというのが本企画の主旨であり、これまで語ってきた内容だ。単にゴルフバッグを積んで移動する手段のクルマを選ぶのではなく、家を出るときからワクワクするようなゴルフライフを楽しもう!という提案となる。
もちろん、ゴルフに対する姿勢は人それぞれ。ビギナー、アベレージゴルファー、アスリート云々と十人十色。ゴルフ場へ足を運ぶ回数だって年に数回から月に二桁なんて人もいる。
回数はともかく、ゴルフを非日常ととらえワクワクしたいのであれば、アルファ ロメオはいい相棒になることは間違いない。これまで幾度となく記してきたが、かつてレーシングカーの製造とレース活動を中心に成長してきたこのブランドはいまも侮れない。Alfa Romeo. D.N.Aシステムを持つジュリエッタの走りは秀逸で、ダイナミックモードではよりレーシーな走りを体感できる。アクセルレスポンスはクイックになり、トランスミッションも低いギアをより高い回転域まで引っ張ってくれる。このときのエンジンサウンドをも含め、戦前レースで培ってきたアルファ ロメオの遺伝子はいまも生き続けていることがわかる。
そしてこのデザイン。世界中の自動車メーカーが真似できない、彼ら独自のオリジナリティがそこにある。イタリアンデザインの妙とでも言えるテイストだ。まさに唯我独尊。ドイツ系とは一線を画す。Vol.4 に記したので詳細はここでは省くが、歴代ジュリエッタを含め、そのデザインは時代のトレンドの半歩先を行っている。
さて、そんな美しいフォルムをまとったジュリエッタでゴルフ場へ向かう。官能的な走りを含め、非日常であることは言わずもがなだ。日常とは異なるこの感覚をゴルフへ持ち込む。高められたスポーツマインドがアグレッシブなプレイをもたらすことだろう。アルファ ロメオ•ジュリエッタで行くゴルフライフ。それはゴルファーをさらなる高みへ誘うに違いない。
1964年生まれ、東京都出身。広告会社に勤務の後、自動車雑誌「カー・イー・エックス」(世界文化社)副編集長、同「アメリカンSUV」(エイ出版社)編集長などを経て、フリーランスとなる。その後、副編集長として男性雑誌「レオン」(主婦と生活社)の編集に従事。現在は、自動車評論家として、主に自動車関連の雑誌やウェブサイトに寄稿するなどしている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カーオブザイヤー(2008-2009)選考委員。