No.268 『スピンの効いたアプローチ』 11/4更新
ロフト感覚を教えてほしい
はじめまして塾長。私のウェッジのロフト角は58度。上げやすいクラブを使っています。アプローチはほとんどSW1本です。しかし、ロフトの調節が難しい。低い球でキュッと止めたいと思い打つものの、なかなか思うような球の高さが出せません。だからといってロフトのあるアイアンの練習をしていないので、番手を変えることはできません。塾長の「ロフト感覚」を解説して下さい。
(神奈川県・34歳)
止めたいなら強く打て
研修生時代の私は9番アイアンだけのアプローチをしていた。上げるでも転がすでもない、単純な気持ちで9番アイアンを持ってピンを狙うだけのアプローチ。
その頃の記憶は薄いが、低く出てピン3メートル手前で鋭いスピンのかかる球質だったと思う。どういう打ち方なのか、を意識してた記憶はない。グリーン周りに来れば9番アイアンを持ち、同じ打ち方をしていただけ。
今は14本全部を使う。遊び心が強まった頃から14本全部のクラブを使い始めたと記憶する。必死に寄せていた頃は14本全部のクラブを使えるものじゃない。ミスの確率高き打ち方を誰がするものか。
必死なればクラブ1本でどの様な状況からも打って行くのが上達の途中の姿だと思います。そして経験を重ね、成功の確率が計算できる様になった時からアプローチの使用クラブ本数が増えて行くと思う。
ジュニア生はサンドウェッジだけのアプローチをして来た。試合に出場し、アプローチの上手い人の打ち方を見て塾生は上手い人の技を盗むようになった。
手取り足取り、口の説明で教わる打ち方より、必要に迫られて盗む技の方がどれだけ有効性を持つかは自明の理でしょう。教わる姿勢よりは盗む姿勢の方が強欲であり、己の身につく。自分のアプローチの型を持たなきゃツアーでは戦えません。
プロの領域、平均レベルで戦うものではない。自分の得意とするレベルで戦うものだ。得意とするクラブ本数が11本あれば世界を代表するプロになれます。ニクラスは得意なクラブ11本と言っていた。
得意クラブ本数9本で日本のトッププロになれる。日本と欧米の差はクラブ本数にして2本。距離にして30ヤード。
貴兄はサンドウェッジ1本のアプローチをしておられる。それでいい。間違ってはいない。スピンの効いた球を打ちたいのであれば強く打つ事です。球の回転の柔らかさではなく、球の回転の鋭さで止めて行けばよい。
貴兄はピッチングウェッジで練習してみてはどうだろうか。両ひじに余裕を出して強く打つ打ち方を目指して貰いたい。球を止めたきゃ強く打てばいいのです。低い飛び出しの球が欲しいならなおさら、強く打たなきゃいけない。
サンドウェッジで何とかしたいと言うのなら、サンドウェッジのグリップエンドぎりぎりの長さに握って打てばよい。短く握ってスピンは効きません。シャフトの長さぎりぎりに握って強く打って下さい。
サンドウェッジの溝を使って止める訳ですから、シャフトの長さを利用しなきゃいけない。ロフトじゃなく、シャフトの長さへの注意は要ります。
サンドウェッジのヘッドに9番アイアンのシャフトを付けてみて下さい。その長さで打ってみれば分かる。強く打つ程に球は鋭いスピンで止まり行く。貴兄はサンドウェッジのヘッドに9番アイアンのシャフトを装着させてみるのも一興か。
ロフト感覚を問うておられるが、そんな難しい感覚、我が身についてはいない。感覚とは常に易しきものであるべきでしょう。難しくすれば悩みが生じる。感覚に悩みがくっついた時、その感覚は試合の中では使いものにならないものだ。
感覚に難しさを混入させた時からプロの不調は始まります。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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