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ゴルフ野性塾SP

No.296 『構え方と球の高さ』 5/27更新


弾道が高くて飛距離が出ない

ドライバーの弾道が急に高くなりました。ボールが上がり過ぎます。テンプラまではいかないまでも、飛距離が出る高さでは決してありません。適度な高さを出すには、何を意識することが最も大切なのでしょうか。私はHC20、ゴルフ歴3年です。クセがあるスウィングではないと周りからは言われています。

(富山県・32歳)


考えられる原因は三つあります

photo 第一の原因としてスウェイが考えられる。バックスウィングでのスウェイ、ダウンスウィングでのスウェイ、インパクト後のスウェイとスウェイは三つの領域を持つが、テンプラに近い高さを出すのはダウンスウィング時のスウェイである。

要するに下半身の動きが硬化した状態での上半身の突っ込み。下半身、特に膝の動きが柔軟だと上半身の突っ込み状態は起きないものだ。 膝が硬い動きを出すと上半身は突っ込んで行く。インパクトゾーンが消え、ただヘッドをボールにブッつけるだけの球捕らえ状態。飛距離は出ない、方向は悪くなる、球はテンプラ気味の軽くて弱い勢いで、ボワーッと飛び行くだけ。

貴兄の悩みの原因は膝の硬化した動きと推察。膝を柔軟に動かす手段は幾通りもあるが、貴兄の32歳という年齢だと3つの即効的方法がある。

その一。右膝を伸ばしたアドレス。飛ばしたい、飛ばしたいの欲が強まれば誰でも右構えの強いアドレスをするものです。右体重にして右肩、右腕に力を入れて右サイドから球を眺めるアドレス。当然、右膝の高さは気楽にアドレスするよりも沈んだ状態にはなっている。

バックスウィング始動してトップ位置迄は右構えの欠点部分は顔を出さない。トップからダウンスウィング移行する時、体重移動の一瞬の遅れが上体を突っ込ませる。右膝を低くした分、右膝の動きが遅れての体重移動の遅れ。

日頃の高さより3センチ低く構えると、右膝の遅れは0.3秒遅れるものと思って頂きたい。1センチ低くした右膝では0.1秒遅れます。

ツアープロは飛距離を出したい時、右膝を沈ませる様なアドレスはしない。飛ばしたい時は高く構えて行く。そしてそれが飛距離を生む方法。右膝の動きが遅れちゃボールは曲がるし、飛距離も出ません。

photo ハンディ10以上のアマの方はその辺りを逆に考えておられる様だ。競技ゴルフをやっておられるシングルハンディの方とそうでない方の本能は異なるものです。飛ばしたい時、低くアドレスせよ、と仰有る方は競技ゴルフ経験者ではない。右膝を沈めたアドレスでボールが真っ直ぐ飛ぶ訳もないのに低く構えよと考えるのはこれ如何に!?

貴兄は飛ばしに入った。右構え態勢を作りに行った。右膝を低くしたアドレスに入った。貴兄はここで間違えた。飛ばしたい時、右体重、右構えのアドレスする人はOB打つゴルフである。

練習場ではいい球打てるのにコースに来ると飛距離は出ない、球は曲がると悩む方、その方のアドレス時の右膝位置はズレている。練習場とコース、右膝の高さが一定だと練習場の飛距離と方向性は得られるものだ。

優勝したプロはコメントする。「今日は朝から高いアドレスが出来ました」と。高く構えるアドレスは右膝の高さより始まる。貴兄は右爪先を日頃より5度開いてアドレスしてみて下さい。逆ハの字アドレスです。それで右膝は沈み難くなって行く。

その二、右肩位置を高く構える手段がある。アドレス時、右ひじを絞り込んだ構えでは右肩は落ちる。右ひじは余裕の型がないと右肩が沈み込み、右膝の動きの硬化は生じる。右ひじを右脇腹より10センチ離したアドレスをしてみれば、結果として右膝の動きは柔軟になるものだ。

その三、アドレス時、顔を横に回して目標方向を眺めると上体は突っ込み易くなります。上体がその横の動きに順応するのです。上体は突っ込む。

顎をほんの少し左へ回して顎の動きだけで目標を見れる様にすればよい。顔を横に回した目標の動きは膝の動きの硬化を招く原因となり得る。

以上三つの方法が貴兄の即効的手段である。40歳の方、50歳の方にも年齢と体型に応じた即効力の強い修正手段はあります。20歳の方が70歳の方の真似をするのは難しいし、70歳の方が20歳の真似をするのも難しいものだ。年齢、体型に応じた手段はあります。それは進化の道である。

第二の原因として、グリップを詰めた握りをし、その後、飛距離が落ちたという理由で元の長さへ握り直しをし、その後で上がり過ぎるボールになって行ったのではあるまいか。だとすれば簡単。もう一度、短く握り直せばよい。

第三の原因はアドレスの長さ。アドレスに入り、長く構え過ぎると体全体は爪先へ体重を移す。体の筋肉は体重のかかっている部分の筋肉を使おうとする。爪先体重だと体の前面の筋肉主体のスウィングとなり、手打ちスウィング傾向となる。

爪先下がりのライでは体重が爪先寄りになる為、体の前面の動きが強まってカット弧は生じる。その結果がスライス。逆に踵体重となる爪先上がりのライでは背中側の首筋から足首迄の筋肉、要するに回転筋が多く使われてドロー球にはなる。

体の正面側の首筋から足首迄の筋肉はスライス球を生み、背中側はドロー球を生むものと認識して貰いたい。ストレート球筋はその中間体重位置で体全体の筋肉を使う事によって生まれる球筋である。体重のかかった延長線上の筋肉で球は打たれて行くと考えればゴルフ理論は簡潔さを持つ。

貴兄は長いアドレスになっているのではないか。その長さが爪先体重を生み、ダウンスウィングでの上体の突っ込み招いていると考えても不思議ではない。三つの原因の中の一つが貴兄のスウィングの動きに合致しているので幸い修正は簡単に出来る。

レッスンプロに相談して下さい。あるいはシングルプレーヤーでも修正してくれましょう。合致しないのならば今一度の葉書を頂きたい。その時にはスウィング写真同封を望む。




この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。

つづく
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目次
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No.459 距離感をあわせるには・・・ (10/6)
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坂田信弘

京大中退からゴルフを目指した異色プロゴルファー。主として週刊ゴルフダイジェストを根拠として漫画の原作、競技観戦記、レッスン書、レッスンビデオなど八面六臂の活躍をしているが、現在は次代のゴルファー育成のため開始したジュニア塾の塾長として脚光を浴びている。スウィング型を作るための「ショートスウィング」を提唱。
 
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