No.308 『プロゴルファーへの道』
8/19 更新
26歳。プロゴルファーを目指したいと考えました
先日銀行をリストラされました。現在26の若さです。将来を考え、真剣にプロゴルファーを目指したいと考えました。塾長のビデオ、雑誌、単行本、すべて目を通しています。クセができないようにと、あえてショット練習はせず、体作りに専念しています。身長は168センチ、大柄ではありません。塾長、私は今からゴルフを始めて、プロゴルファーになれますでしょうか。
(兵庫県・26歳)
誇りを捨てよ。裸になっ飛び込め
貴兄の目指すプロとはトーナメントプロであろうが、可能性は否定しない。否定はしないが、トーナメントプロになれる可能性、極めて低い確率と思う。貴兄の体格とか、ゴルフ経験とかが問題ではない。貴兄の心の基本姿勢が問題なのだ。
相談してから取り組むか、否かを決めるようでは一匹狼の領域、生きて行くは困難。石橋を叩いてから歩き始めるとか、石橋を叩いてでも歩き出さないとかの慎重さ、計算の高さを例えた譬(たとえ)がある。だが歩く気がないのであれば、歩く必要性がないのであれば、そして他に歩ける橋があるのであれば眼の前の橋を叩く必要はない。その橋の前に立つ必要もない。
選べる余裕があり、時間もありての石橋叩きであればその慎重さ、計算の高さは評価できよう。しかし、選択の余地なく、渡らなきゃいけない状況と来れば眼の前の渡り橋が石橋であればオンの字。一気に渡るはず。私であれば腐り橋でも渡る。深き谷にかかる丸木橋でも渡ると思う。
貴兄は石橋を叩いている。26歳でゴルフを始め、そこからトーナメントプロになれるか否かを問うている。石橋か否かを問うているわけだ。
今の世、石橋がどこにある。ましてや一匹狼の領域、橋があれば十分と思った方がいい。橋のない川に橋を作るのが一匹狼の領域ですぞ。飛び込まなきゃ話の始まらないのが研修生の道と思う。歩き始めるか、否かを考えているようでは歩かない方がいい。貴兄の性格、一匹狼で生きて行く領域に向いているだろうか。
銀行は組織の領域。だけど組織といえど、皆、一匹狼の筈。群れたる狼の集団を要求されるのがこれからの時代と思う。
自己評価する人間は常に不満を持つ。不満は嫉妬心を作る。嫉妬心は状況の判断を間違える。そしてなおの事、不満は募り、周囲との摩擦生じて人間関係を悪化させて行く。知恵、知識、ありとも、嫉妬心の強い人間は頑固になって行く。前が見えなくなって行く。それが世の常だ。
嫉妬心、強く強く持つ者は我がまま一杯のガキと思った方がよい。向上心の強い人間、目的意識のくもらない人間は己自身の嫉妬心を蹴っ飛ばす強さを持つ。他人の嫉妬心を蹴ってしまう豪脚の者もいる。
人、誰でも嫉妬心は持つが、嫉妬心の首輪をするか、嫉妬心を蹴っ飛ばすかで男と女の顔は変わって行く。人生なんてのはお互いの嫉妬心を蹴り合うサッカー競技場と思っても間違いじゃないと思う。
貴兄は26歳の若さです、と書いて来た。私であれば、現在26歳のおっさんです、と書く。真剣にプロゴルファーを目指したいと考えました、と書いて来た。目指したいのであれば、今すぐ貴兄の住む兵庫県で就職出来るゴルフ場を探すべきだ。
貴兄の相談の文面を見て、自己評価と自意識が浮いた性格と感じた。給料は要りません。ゴルフ場の仕事はさせていただきます。だから練習させて下さい、と申し込めば受け入れてくれるゴルフ場の一つや二つはあろう。それだけの覚悟は要る。人並みに給料貰って、練習させて貰い、それでプロにしてくれとは言えない貴兄の立場である。
心を裸にせよ。それでゴルフ場に飛び込んで行け。私に出来るアドバイスはそこまでだ。
行動して考え、行動した後に背筋を伸ばして行けばよい。行動する前に背筋を伸ばすな。
プロゴルファーの領域、誇り、自尊心は行動起こし、長き途、歩いた後のものと思う。60歳過ぎて、姿を見せる誇りと自尊心であろう。自尊心は生きてきた時を知らせる時知らせの釣り鐘だ。今の貴兄に必要な鐘ではない。
貴兄は突っ走れ。履歴書を持ってゴルフ場へ行け。24歳になったばかりの時、私はそうやってゴルフ業界に飛び込んだ。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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