No.327 『上達の道は上りの階段』 1/6 更新


練習しても結果が出ない・・

いつまでも上達したいと欲する中年ゴルファーです。今、壁に当たっています。シングルの壁を11年壊すことができず、悩んでいます。練習しても結果が出ないので、練習が面白く思えないようになって来ているのでしょう。50歳を過ぎ、そろそろシングル入りを諦めようとも考えています。すぐに壁を壊す法、すぐにゴルフが面白くなる法などご指導下さい。

（東京都・53歳）

上達という文字、上へ達すると書く。上達とゆう文字、上へ向かうと理解してもいいだろう。要するに向上。

例えるに上達の道は上り階段だと思う。スタート時からズーッと同じ上り傾斜ではあるが、最初の階段は一段一段の幅は狭い。故に二段、三段と飛び越えて行ける。

賢にして鋭なる方。賢い知恵、器用なる順応力、物覚え速き鋭い感性、賢にして鋭なる方は最初の頃の階段を一気に駆け上って行く。ここで賢にして鋭なる方と愚にして鈍なる方との差はつく。

だが、上達の階段はいつまでも狭い階段幅ではない。上るに従って階段幅は広くなって行く。二段、三段と一気に駆け上れる階段幅ではなくなる。そして、遂に階段はなくなり、硬い砂地の階段なき斜面と変わり行く。

こうなると爪を立て、指先やひじ、脚を使って這って行っても進みは微々。上るには階段が要る。階段を作らねばならぬ。階段を作る己のスコップ、それが基本。己の階段を己のスコップで作る状態が来るのは大体、ハンディキャップ10から先であろう。シングルハンディは尊い。己の階段を己のスコップで作って来た方々のハンディである。

己の階段を作る時、賢にして鋭の心では作れない。愚にして鈍、亀の心でなければならぬ。諦めない心、目的を見失わない忍耐力、1本のクラブで同じ練習をやり続ける心の丈夫さが必要。

階段なき斜面に階段作るには愚にして鈍の心と感性は要ります。私はジュニア塾生に愚にして鈍、亀の心になれ、と言って来ました。素直な女子は亀の心を目指した。昨年の日本女子アマチャンピオン紫垣綾花、今年のチャンピオン井芹美保子(いずれも執筆当時)はいつの時も素直であったし、亀の心を失わなかった女の子であった。

顔を見れば分かる。小賢しい顔はうさぎになる。恋して立ち停まり、結果が出ない、といって周りを見渡して何かないかな、と考えるようでは亀になれない。やっぱりうさぎだ。

塾生は顔が変わり行く。練習は塾生の眼を亀の眼にする。練習する子の眼は読みにくい眼になる。練習しない子の眼は落ち着かない。いつも周りを見渡す。そして黒眼が勝る。

白眼が勝るようでなくちゃ駄目だ。練習は白眼を作る。熊本ジュニア塾生男子の顔もやっと亀の心を出すようになって来ました。女子よりは3年余分に亀となる時を必要とした。今年の夏頃から戦績は向上すると思う。札幌塾と福岡塾の男子生徒はまだ小賢しさを見せている。己を主張し過ぎるので、小賢しさが消えやしない。過保護なんでしょうな。親が出過ぎると子供は小賢しくなって行くとゆう事が分かっちゃあいない。

亀になるには親の忍耐が要る。教育とは耐える事だと思います。教育する者はドロ亀にならなきゃ指導なんて出来やしないと思うが、親が子供に対してうさぎにならんと欲す近頃の世情、何か変だ。

シングルになるには基本が要ります。己の階段を作る己のスコップが要るのです。愚にして鈍、6アイアン1本でショートスウィングの練習をすればよい。賢にして鋭で上達し続けるのは無理だ。上達し続けたいのであれば心を変えなければならない。愚にして鈍。

貴兄は階段を作れ。ハンディ10までは誰しもが上れる階段。シングル階段は人それぞれの階段となる。基本で作り行く階段です。プロの向上の斜面は急斜面。だからこそ、確たる基本が要る。

今も賢にして鋭の心と感性でゴルフをするプロを目指す研修生は多い。恋はしたい、金は欲しい、仕事はしたくない、きつい練習はイヤだ、と主張する。そうゆう者を真性馬鹿と申す。愚鈍馬鹿にならなきゃ基本は身につかないのに何ひとつ分かっちゃいない。

器用過ぎるのは駄目だ。人間、不器用が一番。私は不器用なる者を信用する。私も不器用人間を目指す。確実なる上達を続けて行くには愚にして鈍の心が要ります。6アイアンで愚にして鈍を目指して貰いたいと思う。健闘を祈ります。