No.347 『背面筋が飛距離を生む』 5/26 更新


上半身の筋肉はスウィングの邪魔？

春からスポーツジムに通おうと思っています。そこで、せっかく筋力を付けるならゴルフにも生かしたいと思いますが、以前、何かの記事の中に、あるプロのコメントとして「下半身は鍛えてもいいけど、上半身に筋肉が付くとスウィングの邪魔になるから、上半身のトレーニングはしない」というのが紹介されていました。スウィングに悪影響を及ばさないトレーニングの注意点があったら、教えてください。

（千葉県・39歳）

首筋、首から肩、そして手首まででつながり行く筋肉は欲しい。背中側から眺めれば頭の下から首筋、肩、腕、手首へとつながり行く右と左、それぞれの筋肉の逞しさ。

ゴルフに必要とされる筋肉です。鍛えて鍛え過ぎとゆう筋肉じゃない。鍛える程に飛距離は増し、方向性も整う筋肉だと思います。強い球質の出せる筋肉でもある。

貴兄は正面を向いた時に己の眼で見る事の出来ぬ背面筋を鍛えて行けばよい。如何なる部位の筋肉を鍛えるとスウィングの邪魔になるとゆうのか。私にはよく理解出来ない。多分、胸筋を言っていると思うが、ならば女性はどうなる？　肩から肘までの筋肉の太さを言っているのであれば外人のあの腕の太さをどう理解する？

相撲取りやプロレスラーの筋肉の付き方や体型を指しているのであらばそれは違う。基本のスウィング型さえ覚えれば自分の足で自分の体を運べる人、ドライバーで250ヤードは飛ばせるものだ。

先入観はよろしくない。胸筋、逞しき人を指導した事がある。半端じゃない飛距離が出せる様になりました。キャリーで260ヤード打って来た。上半身の筋肉の強さは飛距離を生み、下半身の強さは方向性を確保するが基本。飛ばしたければ上体を鍛えるべきでしょう。

15歳から19歳になる頃、私は手練りセメントのアルバイトをやっていました。スコップ1本、ボコボコになった薄い鉄板の上で砂とセメント粉と水を混ぜ合わせて行くセメント練り。膝を曲げ、軽い前傾姿勢で練っていきますが、このアルバイトで首筋、肩筋、腕筋が程々に鍛えられた様に思っています。鍛えられる筋肉、重いと思った事はない。

そして19歳過ぎた頃、トラック助手の仕事に転じた。食用油の入った一斗缶を中型トラックの荷台に5段積みして行く仕事だったが、やはり一斗缶を両手に持って荷台を走り、勢いつけて4段上に放り投げるには上体の筋力が要りました。最初の頃は受け手の方の手許に届かなかった。

根性出さんかい、と怒鳴られたが根性だけでは両手に抱えた一斗缶を一気に頭の上に差し上げる事は出来ませんでした。筋力とタイミング、そして呼吸を合わなければ受け手の手許に届かせる事は出来なかった。

一日6時間、トラックの荷台を走り回り、怒鳴られないで済む様になったのは一カ月過ぎた頃でした。金が欲しかった。だから、続いた仕事だったと思う。金が欲しくなければ、肉体労働、続くは難しい。

振り返ればツキがあった。セメント練りと一斗缶運びは私の背面筋を鍛えてくれた。研修生となった鹿沼CC時代、私は山樫の棒を両手に持って杉林の中を走り回っていた。杉の幹を山樫の棒で叩き走りした。杉の木を叩いてどうするつもりだッ！とグリーンキーパーに怒鳴られたが、隠れて叩き続けた。気が緩めば手許が緩み、叩いた棒は手許から転げ落ちた。緩めば手の中、豆だらけになった。叩く瞬間の一瞬の締めを体で覚えるが為に私は杉の幹を叩き続けた。

鹿沼CC北13番ホールと14番ホールの間の杉林、あの150メートルに私の青春があった。昨年、鹿沼に行った。杉林に行った。幹に傷が残っていた。涙が出た。

貴兄は背面筋を鍛えて行け。