No.346 『ダウンブローとアッパーブロー』
5/19 更新
アッパーに打った方が距離が出る?
最近、ドライバーはアッパーに打った方が飛距離が出ると言われていますが、そうなんでしょうか。
(千葉県・46歳)
力の漏れを避けるにはダウンブローです
理想を申せば、ドライバーからパター迄、同じ感性で打つべきと思う。ただ、それが出来るのはゴルフの神様唯一人の様な気もします。
勝つ時、鬼の如き勢いでホールを攻め切った時、ドライバーからパター迄とは言わぬ迄も7本、8本のクラブを同じ感性で打てるものだ。三流半のプロの私もその経験は持つ。ましてや超一流のプロ、同じ感性で打ち行くクラブ本数とその機会は多いであろう。
素直に申す。ダウンブローで14本のクラブを全部打てるのであればダウンブローで打つが理想。ウッドはアッパーに、アイアンはダウンブローにと分けるのであればそのゴルフ、少し難しくなって行く様な気はする。
その難しさを克服するには一日500球の練習球数は必要。練習期間は一年。毎日打ち続けての一年である。毎日500球、一年打ち続ける事の出来る練習環境、研修生にもないと思う。体力は続いても経済力と時間が不足する。
ドライバーはアッパー、フェアウェイウッドとロングアイアンは真横、ミドルアイアンとショートアイアンは上から、と打ち分けするのはこれ又、難しくなって行く。単純こそがパワーと考えた時、14本のクラブ全部に共通する打ち方を見つけてみたいものだ。それは上からの叩きではあるまいか。
上から叩いてもアドレス時のボール位置、左足踵線上にあれば限りなく地面に平行のヘッド軌道でボールは捉えられて行く。水道は漏水する。スウィング中の人間の力も漏力する。アッパーブローの方が漏力の可能性は高いと思う。ダウンブローの方が漏力し難いものだ。ならば上から叩いて行った方がよい理屈になる。
この漏力面から見たスウィング構成論は後日の稿に譲りますが、漏力のスウィングだけは避けたい。初心者の方のスウィングは力漏れのスウィングと思って頂きたい。シングルのスウィングに漏力はない。漏れても20パーセント。ハンディ5以下の方のスウィング、漏れても5パーセント。
私は練習場で球打つ方の漏力を見る。下半身から漏れ行く力もあれば、上半身、腕、スウェイ、突っ込みで漏れ行く力もある。漏れては方向性がつかめない。球が極端に曲がる人は漏力を第一の原因と考えるべきであろう。
貴兄は上から叩け。余程の筋力ないとアッパーに打っての飛距離は出ない。上から叩く。そしてボールを左足つま先ラインに置いて打てばアッパー打ちと同じ動きにはなりましょう。クラブヘッドとボールは一瞬の出会いと別れの縁。その縁、アドレス時のボール位置で決まると思って頂きたい。
上から叩け。あとは貴兄のボール位置を決めるだけ。己のボール位置を掴めればハンディ9にはなる。掴める事の出来ない方の前には10の壁が立ち塞がる。ボール位置が総てです。上から叩いてのボール位置。
なお、アッパーの感性が欲しいのであればトップで左手首を意識して使うべきでしょう。トップでコックし、左腕とシャフトの作る内角の角度を60度とし、そのコックを維持する意識のままにインパクトに入って行くのです。左手首か、左肘に角度を作らなければアッパーに打つは難しい。一番簡単なのは右足体重で左足つま先線上のティアップされたボールを叩く事だ。
貴兄は選べばよい。私であれば上から叩く。ドライバーからサンドウェッジ迄、上から叩く感性で打ちたい。ジュニア塾生にもその様に指導して来た。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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