No.405 『目玉は力ではなく弧で打て』
7/20 更新
バンカーでの処理法を教えてください
最近シングル入りしました。これからはできるだけレベルの高いゴルフをしたいと思っています。そこでひとつ難易度の高いバンカーショット、目玉の処理法を教えてください。3分の1埋まった小さい目玉、半分埋まった中くらいの目玉、3分の2埋まった大きい目玉。ピンポジションやアゴの高さなど、目玉の様々な状況を乗り切る技術指導をお願いします。
(神奈川県・33歳)
バンカーは優雅な砂舞いの場です
バンカーショットはスウィングで出すを基本とする。ダウンスウィングからインパクトへかけての力の入れようで打っていけば転がりの多い球質が生じて寄せのラインは見極めにくくなる。
少し話を変えますが、打ち下ろしのアプローチラインであれば上げて転がしのアプローチはラインも読みやすいし、突然の球質の変化もないものだ。フラットライも然り。しかし、打ち上げの状況だと上げて転がしのアプローチではラインが読みにくい。突然の球質の変化も生じる。
故に、打ち上げのアプローチでは最初から転がして行くか、最初から転がしを止めてピンデッドに打って行くほうが寄せやすくなるだろうし、球質の変化も阻止出来る。
途中の距離まで上げて、そこから転がして行くピッチエンドランは下り斜面に適したアプローチ手段であって、上り斜面では最初から転がし上げて行くか、ピンデッド寄せのほうが寄せやすいと思う。打ち分けて頂ければ分かる。間違いないはず。
なお、補足の説明となるが球質の変化とは受けの面に球が落ちた直後の変化を言うものであり、転がるはずの球が寸止まりしたり、柔らかく転がるはずの球が強く転がって行ったりの予測し得なかった球質の変化を指します。傾斜、芝目、グリーン面の硬さ軟らかさが起こす変化と思って頂きたい。
インパクトに向けて力を入れると転がりの球質は生じる。バンカーの多くは打ち上げライであってグリーンに向かって打ち降ろして行くバンカーは少ない。ならば最初から転がし行くか、ピンデッドに打って行くかのいずれかが基本となろう。
だがバンカーショットで最初から転がして行ける状況は少ないと思う。バンカー土手もあって多くは土手越えのために球を上げて行かなければならない状況となる。ならばピンデッドに打つがバンカーショットの基本とはなる。
力で打って行くと転がりの球質が生じ、ピンデッドには打ちにくい。力で打って行けばここで基本から外れる。プロやトップアマがバンカーショットとロブショットはスウィングで打て、スウィングの弧で打て、リズムで打て、と教えて来た理由はそこにある。
100ヤード以上は基本から外れても何とかなるが、100ヤード以内の寄せ技は基本から外れないほうがいい。我流とは我の通る状況で通るだけのものであって、我の通る状況は少ないものだ。メジャー競技に我の通る状況はない。だからメジャー競技は基本の戦い様になって行く。
貴兄はスウィングで打て。弧で打て。リズムで打て。力ではない。目玉状況であろうと、スウィングで打ち、弧で打ち、リズムで打てば球は止まる。力で打つと止まらない。
以前、目玉は出すだけで十分、と考えられていた。なれど技術は上がった。今、出すだけで十分と考えるプロ、トップアマはいない。力で打たなければ、そしてダウンスウィングに性急な動きを出さなければ目玉ボールも止められるボールとなったのです。
バンカーショットは砂舞いの場と考えて貰いたい。軽く、優雅であればいい。アドレスからトップスウィングまでを1のスピードで上げ、トップからインパクトまでを同じスピードで振って行くと止まり球は生じます。10ヤード以上の距離であればアドレスからトップまでのスピードの1.5倍のダウンスウィングスピードで打てば止まるであろう。倍だと性急のスピードとなって転がり球、スッ飛び球が生じましょう。
欲、ムキ出しの打ち込み打ちではピンデッドに打って行くは難しい。優雅でなければいけないと思う。優雅とは振り抜く美しさだ。努力あれ。工夫あれ。勇気あれ。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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