今回、私は中学男子のマーシャルを担当しました。4人一組で回る子供たちに18ホールついて回り、何か問題が起きたときに適切な指導をするのが役割です。
私は早めに1番ティに行って、スタートする子供たちを見ていました。競技に出たことがある方はご存知だと思いますが、試合ではスタート前にマーカーが決められ、選手同士でスコアカードの交換を行います。
びっくりしたのは、何人かの子供たちはスコアカードを受け取ると「お預かりしました」と丁寧な確認の言葉を発していたことです。学校の先生か親が指導しているのでしょうが、こうやって子供たちは挨拶や礼儀を学んでいくんだなと思いました。
さて、私が担当する組のスタートの時間になりました。その中に、競技は初めてと思われる子供がひとりいて、かなり緊張している様子でした。
案の定、ティショットは隣のホールへ。ボールのあるところまで走っていったその子が、同じ組の初対面の上級生に「これどうしたらいいんっですか?」と大声を出して訊きました。すると、その上級生は「そのまま打てばいいんだよ!」と面倒臭そうに答えました。
その上級生の男の子はかなりの腕前で、試合にも数多く出ているようでしたから、自分のペースを乱されるの嫌がっていたのでしょう。
「もっと優しくしてあげればいいのに……」と心の中で思いましたが、できるだけ、子供たちには口を挟まないようにと遠くから見守ることにしました。
すると、どうでしょう。ホールを重ねていくと、いつの間にか、その二人は完全に打ち溶け合っているのです。最初は冷たい子だなと思っていた上級生の子が「おまえな、こういうときはこうやんなきゃいけないんだよ」と下級生の子にいろいろと教えて上げているんです。その光景は本当の兄弟のようで、スポーツを通じた心の交流を見た気がしました。
下級生は上級生からルールやマナーを、そして上級生は人に対する思いやりをゴルフを通して学んでいる。私は思わず「あぁ青春だな」と心の中でクサイ言葉をつぶやいていました。
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