ジュニアカップの会場は、富士山の麓に広がる東名カントリークラブ。ここを舞台に夏休みの最後の一週間、ジュニアたちの熱い闘いが繰り広げられた。プロ顔負けの好スコアを叩き出す、未来のスタープレーヤーたちを見たい気持ちもあったが、私が向かったのは、小雨がパラつくコース内の練習場だった。
ジュニアカップでは、小学1年~6年生を対象に、初心者レッスンも行っており、毎年、多くの子どもたちが参加しているのだ。早朝の練習場では、「初めまして」の人ばかりで言葉少ない子どもたちが集まり、オリエンテーションが行われていた。緊張した表情の子どもたちをやさしい表情のインストラクターが盛り上げる。
レッスンがスタートする前に、まずは、カップ切りの作業見学へ。グリーンを囲み、コーススタッフの方がカップ切りの様子を見せてくれた。専用の道具で土を綺麗にくみ上げ穴を空ける。そこへ、金具を入れてカップが完成する工程だ。なかなか見る機会のない光景に、誰もが興味深々。子供たちは、スタッフへ何度も質問を投げかけていた。
そして、いよいよスウィングレッスンが始まるのだが、忘れちゃいけないのが準備体操。大きな声でカウントさせ、十分に身体をほぐしていく。早くボールを打ちたい子どもたちは、うずうずしながら体を動かす。「準備体操は、ゴルフに限らずスポーツの基本」と先生。その言葉、私も肝に銘じようと心の中でつぶやく。
そして、ようやくボールを打つ許可が下りた。ボールが人にぶつかりそうになったら「ファー」と叫ぶように教わるが、「キャー」と叫んでしまう生徒が続出。「間違えないでね」と思わず苦笑する先生たち。
皆、緊張した面持ちで、各自で好きなようにクラブを振り、ボールを打ちはじめる。だが、なかなかイメージ通りに打つことができていない。しかし、先生が、フォームの基本やコツ、さらには上達に必要なドリルなどを教えると、さっきとは別人のように、子どもたちのボールが気持ち良く飛んでいく。
その的確な指導も見事だが、何よりも驚いたのは、インストラクターの先生は決して子どもたちをしからず、上手くできたらホメるということ。子どもたちはホメられると成長するということを改めて実感した。数分前より格段も遠くへ飛んでいくボールに、子どもたち自身が感動していた。
午前の練習の最後には、自分たちで打ったゴルフボールを子どもたち自らが回収。これもチーム毎の競争で行っていた。競争となると子どもたちは俄然張り切るわけで、一見つらそうなボール回収も、子どもたちは笑顔いっぱいで猛ダッシュ、ボールを何ケースも拾い上げていた。
昼食後、ジャンケンやボール遊びを応用した、ゴルフの上達に必要な運動神経を鍛えるトレーニングを終えると、いよいよ本日の目玉、コースデビュー。先生からコースを回る上での最低限のルールやマナーを教わり、プレーがスタート。
たった数時間前はボールに当てるのもやっとだった子どもたちが、コース上でナイスショットを連発。その光景に私も驚いたが、いちばん驚いていたのは、子どもたち自身のようだ。テレビで観るプロゴルファーのようには上手くいかないが、少しずつグリーンに近づくボールに、ゴルフの醍醐味を感じているようだった。
全員がカップインしたところで、レッスンは終了。しかし、ラウンドの楽しさを知ってしまった子どもたちからは、「あと、1回!」というアンコールのリクエストが止まなかった……。
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