No.317 『縦振りか、横振りか』
10/21 更新
最近のスウィングをどう思いますか?
最近のプロのスウィングを見ているとバックスウィングで左肩が下がって、インパクトで左肩が上がるようなスウィングが多く見られます。上下動をしているようで安定しないのかなと思うのですが、プロがしているから悪くはないのでしょう。塾長はこの最近のスウィングの傾向をどう思いますか?
(兵庫県・32歳)
スウィングは「斜め振り」です
水に濡れたタオルを水切りで絞る時、横絞りが最善か、縦絞りが最善かを考えてみて頂きたい。縦絞りの方が水を切りやすいはず。そして絞りやすくもある。
人間の体、横に振った方が捻転力を増すか、縦に振った方が捻転力を増すかと言えば、下半身が固定されやすい分、縦振りの方が捻転の力を増すものだ。
横に振れば腰から下も回って行く。故に体は回るが回った程に捻転力が生まれてはいないのです。飛球線と肩の結ぶ斜めの面に腕を振って行った時、捻転筋は十分にねじれて行くものだ。地面に平行に横に振るよりは遥かに捻転の力を生んでくれる。
厳密な事を申せば、人間の体で縦振りは出来ない。出来るのは斜め振りと横振りであるが、縦に近い斜め振りの方が捻転の力を持つのです。
アドレス態勢からバックスウィング始動した時、両肩が地面に水平に回って行けば、スウィング中のどこかで修正が必要となるものだ。球は斜め下にあり、両肩、両腰を水平にして腕だけを斜めに振って行けというのであるから、どこかに動きの矛盾は生じる。その矛盾を調整するのが関節であるが、老いる程に調整は難しくなって行きます。関節の硬化です。
飛球線後方のスウィング写真を見て頂ければ分かる。インパクトの時、右肩位置はアゴの下。水平に肩を回すのであればアゴの下には来ないはず。心配する事はありません。プロ、アマ問わず、ゴルフされる方総て、真横振りはしていないのです。
球は斜め下にあるのだから、斜めに振って行くは当然。横に振れ、と教えるは感覚指導であって、実際は斜めに振られているものだ。アドレス時、上体は前傾している。斜めに振りやすいがための前傾であって、真横に振るのであれば前傾の必要はない。腕だけ斜めに向いていればいい。だが、腕力だけでは飛ばない。捻転を作りたい。故に斜め振りが必要となり、前傾するのです。
バックスウィング時、左肩を真横に回して行けば、そして腕も真横に回して行けばそのスウィングのトップ位置右肩位置よりも低い位置となろう。誰もそうなっていない。斜めに体を回している証し。
貴兄の心配は杞憂である。最近の傾向と貴兄は言うが、100年前からゴルファーは体を斜めに回しています。狭いスタンス程、鋭角性を持つ斜め回しであり、広いスタンス程、斜め回し角度が鈍っているスウィングになって行く。
広いスタンスの方は横に回せと教えるし、狭いスタンスの方は縦振りせよ、と教えるが、どっちも間違ってはいません。ただ、感覚的なレッスンであるだけの事。
人の体、ボールが斜め下にあるのだから斜めに体を回して行くものでしょう。縦も横もない。飛球線後方より眺めた時、スウィング弧は斜めであり、腕も斜めに動き、、背骨も斜めの角度で位置取りしている。
その程度が大きいか、小さいかだけです。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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